「選手層が厚ければ...」三笘薫の今季をブライトン番記者が総括。昨季ほど輝けなかった“3つの理由”とは?【現地発】

2024年03月31日 リッチー・ミルズ

昨季を大きく上回る活躍を必然的に期待した

腰の怪我で今シーズン絶望となった三笘。(C)Getty Images

 昨夏、2023-24年シーズン開幕直後の8月19日。ホームで行われたブライトン対ウルバーハンプトン戦の15分、左サイドでボールを受けた三笘薫は敵の守備陣に向かって前進し始めると、一気に加速した。

 そして1人目のディフェンダーを抜き去り、さらに止めに来た2人目、さらに3人目に肩に手をかけながらも力強く振り切ってボックス内に侵入。飛び出してきたゴールキーパーの動きをしっかりと見据えて、最後は倒れながら右足でシュートを放つ。ゴール右隅に突き刺さった日本人ドリブラーにとっての今季初得点は、鮮やかなソロゴールだった。
【動画】8月の月間ベストゴールに選出された三笘の衝撃ドリブル弾
 昨シーズン、瞬く間にスターダムを駆け上がった三笘が、今季も調子を維持している、いや、さらにそれ以上の進化を遂げていくものだと思わせた、決定的瞬間だった。
 
 スピードに乗った際の彼のドリブルは、対峙するディフェンダーにとっての最大の悪夢だ。1対1の局面ではさらに慄かされてしまい、職場放棄をしたくなるほどだろう。そんな場面を目の当たりにしたブライトンサポーターたちは、昨季の41試合で10得点・8アシストを大きく上回る活躍を必然的に期待した。

 イングランド国内のフットボールファンたちは昨季、極東からやってきた才能豊かなオールドスタイルのウインガーを称賛し続けた。サイドに張ってボールを受け、対戦相手のディフェンダーに積極的に迫り、襲い掛かるかのように仕掛けていく。最近のサッカーでは見かけなくなったタイプのプレーヤーである。

 米国の著名な詩人、ロバート・フォレストの代表的な作品のフレーズを引用すれば、三笘は「森の中の分岐された道」で、あまり選択されない道を選んだ稀有な存在と言える。18歳の時、幼い頃から所属していた川崎フロンターレからトップチームへの昇格、すなわちプロフットボーラーとしての契約を打診されたが、大学進学を選んでいる。

 さらに筑波大学体育専門学群では、ドリブルに関する卒業論文を書くという、ここでも非常に稀な内容を選択した。しかしそれが現在の彼のサッカーの礎となり、違いを生み出している。
 

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