【新潟】リーグ戦2試合連続弾の田中達也。好調の要因は“ポジティブな競争”

2016年04月03日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

相手の目論みを打ち砕く、特大なダメージを与える一発に。

ここ数試合、目を見張るパフォーマンスを続ける田中(写真中央)。福岡戦でも切れのある動きを見せ、殊勲の決勝ゴールを奪った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 敵地に乗り込んだ一戦で勝負を決めたのは、33歳のベテランストライカーのひと振りだった。

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 0-0で迎えた41分、コルテースのロングスローをエリア内で受けた指宿洋史が頭で競り勝つと、ボールはGKとDFの間へ転がる。相手の対応が遅れた隙を見て、外側から回り込むように侵入してきたのが田中達也だった。
 
「イブ(指宿)がヘディングするところは狙っていた。頑張って落としてくれたのでそこへ走り込みました。DFが少し躊躇したのにも助けられましたね」
 
 GKよりひと足早く足先で触れ、無人のゴールに流し込んだこの得点は、粘りの守備を見せ前半をスコアレスで凌ごうと目論んでいた福岡に、特大なダメージを与えた。
 
 殊勲の活躍を見せた自らの働きについて、「しっかり(パスを)つないでくれたので、僕は押し込んだだけです。なので、チーム全員で掴んだ勝点3だと思っています」と謙遜するが、この試合を含め、直近のパフォーマンスは特筆に値する。
 
 リーグ戦では、3節の横浜戦以降3試合連続で先発出場し、前節の柏戦で今季初ゴール。3月27日のナビスコカップ・鳥栖戦では、得点こそなかったものの、味方との息の合ったパス交換や鋭い突破力で躍動感を示すなど、確実にインパクトを残しているのだ。
 
 怪我でフル稼働できなかった昨季から一転し、"復活"を印象付ける活躍を見せている要因として、本人は「チーム内でポジティブな競争ができている」ことを指摘する。
 
 現に、前線にはチーム得点王のラファエル・シルバを筆頭にタレントがひしめく。さらにそこへ、U-23代表候補の野津田岳人が加わったため、ポジション争いはさらに熾烈を極めるだろう。
 
 ただ逆に、そういったハイレベルな環境に身を置くことで「高いモチベーションを維持でき、今のパフォーマンスにつながっている」(田中)。互いが切磋琢磨し合うことで個々の意識は高まり、ひいては、田中のプレー精度の良さへとつながっているというわけだ。
 
 新潟での過去3年を振り返ると、シーズン2得点(13年、14年)が最高成績だったが、この調子を維持できれば、その数字を塗り替えるのも時間の問題だろう。ここ数年とは違い、シーズン序盤から好パフォーマンスを見せている今季の田中は、この先もひと味違った姿を見せてくれるはずだ。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
 
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