【鹿島】“一歩ずつ”完全復活に近づく土居聖真。「次は“決める”というところまで来ている」

2016年04月03日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

背番号8の“前傾姿勢”がチームに勢いをもたらした。

76分の惜しいシュートなど、多くの決定機に絡んだ土居。しかし結局は無得点に終わり、「自分が決めていれば、勝負がついていた試合」と反省の弁。(C)SOCCER DIGEST

 試合終了後、間もなく2時間が経過しようとしていた。等々力陸上競技場のミックスゾーンも、あらたか片づけが終わっている。
 
 がらんとした空間に、ドーピング検査を終えたばかりの土居聖真が静かに現われる。彼を待ち構えていた数名の記者の前で、土居はまず、悔しさを口にした。

【PHOTOギャラリー|川崎 1-1 鹿島】
 
「自分が決めていれば、勝負がついていた試合。誰が見ても、そうだと思う……しっかり反省して、次につなげるしかない。またああいう場面があったら、絶対に決めたい」
 
 そして、次の質問を待たずに、自身のパフォーマンスについて言及し始める。口調は穏やかなままだが、その言葉には揺るぎない自負が込められていたように聞こえた。
 
「自分が途中から入って、チャンスは増えたと思う。チャンスを増やして、決めるっていうのが自分の仕事。これからまた練習して、たくさんチャンスを作れるようにやっていくしかない」
 
 1-1で迎えた55分、ベンチスタートだった土居は赤﨑秀平との交代でピッチに立つ。金崎夢生と2トップを組むと、その視線は川崎ゴールのみに向けられていた。
 
「自分の色を出そうと思っていた。コンビネーションで崩したり、自分で積極的に仕掛けたり、と。自分たちのゴールに戻るようなプレーはしたくなかった。相手のゴールに向かうプレーを心掛けていた」
 
 背番号8のそうした"前傾姿勢"がチームに勢いをもたらす。川崎守備陣のギャップを上手くついてパスを呼び込み、攻撃を加速させていく。66分には、金崎の狙いすましたクロスをプッシュし、相手GKを慌てさせる際どい一撃を放つ。その直後には、再び、金崎のお膳立てから右足を振り抜くも、これは枠を捉え切れなかった。
 
 76分には、最大の見せ場が訪れる。ニアサイドを突いた山本修斗から、マイナス気味のパスが送られる。ゴール前でスタンバイしていた土居は丁寧に右足インサイドで合わせたが、無上にもシュートは左ポストの外側を通り過ぎていった。
 
 本人が言うように、土居が途中出場してから、たしかに鹿島には多くの決定機が生まれた。しかし、チャンスはあくまでもチャンスであり、スコアは最後まで1-1のままだった。
 
「シュートを打つまではイメージどおりだった。でも、最後は決めないと。内容はどうであれ、得点だったり、アシストができるように、結果を出せる選手になりたい」
 
 惜しいだけではダメ。それは土居自身が一番、理解していることであり、とにかく今は"結果"を欲しているのだろう。
 

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