【大宮】得点に飢えている男――横谷繁が選択したパスの意味

2016年04月03日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

ともに自動昇格したライバル・磐田との戦いは、またドロー。

昨季はJ2で2戦2分。ホームで迎えた今季初対決も先制点を奪われる苦しい展開だったが、横谷の活躍もあってドロー決着に。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 前節・広島戦で5失点を食らい(1-5で敗戦)、J1のトップレベルを肌で改めて感じてから約2週間が経過。日本代表が3月シリーズ(ロシア・ワールドカップのアジア2次予選、アフガニスタン戦とシリア戦)を戦っている間に、ナビスコカップ・グループステージの2試合を挟んで、J1リーグが再開した。

【J1 PHOTOハイライト】1stステージ・5節 大宮 1-1 磐田

【J1採点&寸評】大宮×磐田|昨季、J2で2戦2分のライバル対決はJ1でもドロー。ともに決定打を欠く。

 大宮はホームのNACK5スタジアム大宮に、昨季J2で2戦2分だったライバルの磐田を迎えた。1位、2位でともに自動昇格を決めたもの同士。雌雄を決するべく、そしてG大阪と広島に連敗した巻き返しを狙うべく、もちろん勝点3だけを求めた。だが、結果は1-1のドロー。三度、勝点1を分け合った格好だ。

 3戦目も先制点を奪われ、追いすがるためにパワーと神経を使う展開を余儀なくされた。試合後の両監督の試合評価は乖離があったが、今回はよりしっくりときた名波浩監督の言葉を借りて大まかな試合内容を記しておこう。
 
「(大宮と戦った)3試合のなかでは一番内容が良かった。選手たちには試合後に開口一番『勝点2を失ったゲームだった』と言った。
 
 前半は相手の背後への動きはケアできていた。選手が自分たちの距離感を分かってブロックを作っていた。破綻しそうだったのは岩上からのサイドチェンジと、我々がファウルした後のクイックリスタート。あとは問題なかった。そのなかで先制できた。いい前半だったと言える。
 
 うちは前後だけでなく左右も含めてラインコントロールをマメに行なっている。後半は押し上げやスライドが遅いシーンがあり、それが失点シーンとその後のあったムルジャの決定機を含めてピンチを招く要因となった。
 
 攻撃では失点後に左右のペナルティボックス脇を上手く使えた。ただ、最後の精度もそうだが、エリア内で何人が準備していたのか、イメージの共有はできていたのか、を考えていきたい。逆に大宮側では、その空間を使うのはムルジャの動き出しだけだった。その淡泊さが、我々を楽にしてくれた」

次ページ同点劇の30分前にあった、数秒間の反省という伏線。

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