【バイタルエリアの仕事人】vol.38 川島永嗣|「人気がないのがよく分からない」「人間の動作を超える」根っからの守護神が伝えるもどかしさと奥深さ

2024年03月27日 有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

フランスで実感した日本と異なるGK事情

日本が世界に誇る守護神、川島。やはりその手は大きく、頼りがいがある。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第38回は、今季からジュビロ磐田の一員として戦う川島永嗣だ。

 前編では、自身のコンディションから、14年ぶりのJリーグ復帰で気付いたサッカーの変化、国内外での文化の違いを尋ねた。後編ではまず、11人の中で1人違う色のユニホームを身にまとい、唯一手が使える特殊なポジション、GKへの熱い想いを語ってもらった。

 日本ではあまり人気がなく、最初から務める子どもは少ないイメージもあるなか、川島は"根っからの守護神"だ。

【インタビューPHOTO】14年ぶりにJ復帰!7か国語を操るレジェンドGK川島永嗣を41歳の誕生日に直撃!

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 僕はサッカーを始めた頃から、友だちとサッカーをやる時もキーパーでシュートを止める方が好きでした。単純にシュートを止めるのが楽しかったです。キーパーは、人間ができる実際の動作を超えてプレーするので、不可能に挑戦しているじゃないですけど、それを成し遂げられる唯一のポジションだと思います。
 
 ゴールキーパーってすごく楽しいポジションだから、人気がないこと自体、いまいちよく分からないです。マイナスのイメージ、例えば、常にミスと隣り合わせで、責任を多く取らなければいけないけど、良い面を見れば、今言ったみたいに不可能を可能にできるし、フィールドプレーヤーとは違うものを見せられるので、良いところはたくさんある。良い面にフォーカスした時に、普通に考えれば、楽しいけどなと僕は思います。

 だから、フランスにいた時に自分の子どもが「キーパーをやりたい」って言っても、みんながやりたくて、なかなか順番が回ってこない、そういうポジションなんですよね。それはやっぱり「俺が止めてやる」とか、止めている姿がかっこいいに繋がっていて。だから、みんながやりたがる要素はすごくあると思います。

 小さい時からミスなんか気にする必要はないし、やはり楽しむことを第一に考えるべき。それはフィールドプレーヤーもそう。そういう、もうちょっと軽い気持ちでやれれば、楽しいことはたくさんあります。

 そもそも、キーパーがマイナスのイメージを植え付けられているから、やりたがらない部分はあるんじゃないのかなと。例えば、上手くない子がキーパーをやらされるとか、背が高いからやらされるイメージが染みつきすぎていて、だから嫌だってことが多いんじゃないのかなと思います。

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