【浦和】「自分でも驚いた」森脇良太が“顔”に似合わぬ美しいドライブ弾を叩き込む。興梠慎三が認めるそんなモリの魅力とは?

2016年04月02日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「胸トラップの瞬間、ボールを奪われれば大カウンターを食らいかねない。ここはシュートしかないと判断した」

試合後、ゴール裏のサポーターにあいさつする、この日ゴールを決めた森脇(46番)と興梠。写真:徳原隆元

 森脇の"顔"に似合わない、美しすぎるドライブシュートだった。
 
 ようやく先制点を決めたあと、浦和は関根、高木という攻撃的なウイングバックを投入し、2点目を奪いに行った。それはペトロヴィッチ監督の1-0では危うい、2点目、3点目を決めてこいというメッセージを込めた采配だった。
 
 畳みかけに行った81分、試合を決定付ける一撃を叩き込んだのが、森脇だった。
 
 ゴールから約23メートル。甲府の分厚い壁にはね返されたふわりと浮いたボールが、森脇のもとに来る。ただ背番号46の右ストッパーがよくミドルを放つ『エリア46』でもあった。
 
「胸でボールをトラップした瞬間、シュートまでのイメージが沸いた。相手が詰めてきていたので、ボールを奪われれば大カウンターを食らいかねない。ここはシュートしかないと瞬時に判断した」
 
 そう判断した森脇は、ボールをしっかり捉えたインステップシュートを放つ。急激な縦回転のかかったボールは、GK河田の頭上を越えてアーチを描くとクロスバーに当たって、甲府ゴールを揺らした。
 
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 昨季同時期の松本戦でミドルを決めた時は「奇跡の一撃。ネンイチっす、ネンイチ(年一回)!」と語っていたが、今回は「自分でも驚いたけど、イメージどおりっす。それは本当に」と主張を繰り返した。
 
 と言いつつも、「自分でも驚いた。ビックリっす」と何度も振り返るぐらい、完璧と言える軌道を描いた一撃だった。ゴールが決まった瞬間、彼は喜びを爆発させると言うよりも、少し戸惑ったように周りの様子を窺っていた。
 
「実際に決まって自分でも驚いたのと、どこに行って喜んでいいのか迷った(苦笑)。しかも、なかなか味方が自分のところに来ない。おい、マジかよって思った」
 
 浦和が数的優位に立っていただけに、この1点が、事実上、試合を決定付けたと言っていい。しかし、それだけに90+2分の失点が悔やまれる。
 
「それまでパーフェクトと言える試合をしていたので(相手シュートは1本だけ)、モヤモヤした感じが残ってしまった。神様が『気を引き締めろ』と言ってくれているのだと思う」
 
 浦和は3年連続、甲府にホームで勝てずにいた。結果的に、その勝点の取りこぼしが、昨季は年間勝点1位を逃す要因になったと言えた。それだけに、浦和にとっては、失点シーンの反省点はあるものの、それ以上に勝ち切ったことが大きい。
 
 森脇のスーパーゴールに、興梠は「モリが得意とするゾーン。まあ、50本、60本と打てば、1本は入るよね(笑)」と言いつつも、次のように彼の"凄さ"を語った。
 

次ページ興梠が「モリはその部分を突き詰めてほしい」と語った森脇の特長とは――。

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