参加表明はマドリーとバルサだけ。「欧州スーパーリーグ構想」を巡るカネと脅威【現地発コラム】

2024年03月05日 エル・パイス紙

全64チームで構成される3階層のリーグ

スーパーリーグ構想派のマドリーを率いるぺレス会長。(C)Getty Images

 サッカーは常に社会的、文化的、象徴的、そして経済的な現象だった。世界は変化し、その変化を加速させるものがお金である以上、サッカーは社会的、文化的、経済的、そして象徴的な現象であると再定義しなければならない。

 そのことは、欧州スーパーリーグ構想の実現に向けて法的な壁を打ち破る、欧州サッカー連盟(UEFA)の管轄外で大会を運営管理することを可能にする欧州連合司法裁判所(CJEU)の判決でも明らかになった。

 欧州スーパーリーグはお金を納得させたわけだが、まだこれから社会的、文化的側面においても説得しなければならない。サッカーにおいて感情を喚起させる存在であるファンはその代表格だ。

 司法の扉が開かれるのを待ちながら、フォーマットを考案してきた『Superligue Company S.L.』は、全64チームで構成される3階層のリーグ(スターリーグ、ゴールドリーグ、ブルーリーグ)であることを明かしている。
 
 もっとも、64チームのうち、現時点で参加を表明しているのは、レアル・マドリーとバルセロナだけだ。ナポリのように判決後に片足を覗かせたクラブもあるし、破滅の道を辿ることを恐れて、今後さらに新たなクラブがリストに加わるかもしれないが、何も保証もない。 

 他に誰がこの列車に乗るだろうか? プレミアリーグ勢は期待薄で、バイエルンやパリ・サンジェルマンのような規模と吸引力を持つクラブが公然と反対していることを考えると、64のボックスをすべて埋めるのは困難を極めそうだ。

 さらにチャンピオンズリーグとスーパーリーグの争いが長引けば長引くほど、少なくとも最初の段階ではお互いが疲弊していくのは避けられない。時の経過が噴霧器としての側面も持ち合わせるサッカーに何らかの影響を与える可能性はあるし、お金のためであれば、どんなものも誘惑する新興勢力のサウジアラビアの出方にも注視しなければならない。

 欧州スーパーリーグはもはやスーパーエリートのみが競い合う閉じられた大会とは喧伝していない。荒波に揉まれた2021年の唐突な一発目の発表の影響は、いまだに影を差している。そんななか、フロレンティーノ・ペレス会長は、2つの信頼性を踏み台にしてプロジェクトを推し進めている。

 1つ目は歴史的なもの。マドリーは常に未来を想像する術を知るクラブで、ペレスはその組織のトップに君臨する。2つ目は現状に即したもの。ペレスは健全な経営、最大級の練習場とスタジアム、そして競争力のあるチームを擁するクラブを統率している。
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