「はるかに手応えはいい」堂安律、バイエルンの世界的SBと対峙して感じた “成長”。味方の得点直後に取った行動には「いいディスカッションができた」【現地発コラム】

2024年03月05日 中野吉之伴

思わずトゥヘル監督がベンチを飛び出して嘆いた

バイエルン戦で名手ミュラーを振り切る堂安。(C)Getty Images

「手応えはかなりいいです」

 フライブルクがホームでバイエルンと2-2の引き分けで終えた試合後、日本代表MF堂安律はそう口にした。一時は逆転を許しながら、終盤に粘りを見せての同点劇。結果だけではなく、チームとしても、そして個人としても納得のいくパフォーマンスが多く見られた一戦だった。

 堂安はバイエルン左SBカナダ代表アルフォンソ・デイビスと対峙した。ワールドクラスのスピードを誇るDFとのやり合いは自身の成長を測る対象として格好の相手でもある。しばらく負傷で離脱していたデイビスはこの日からメンバー入りし、64分から途中出場している。そんな相手に堂安は果敢に挑んでいった。

「(後半途中から)デイビスが出てきたときも、自分が成長しているところを試すために、縦が厳しいと思っても、縦にトライしましたし、カットインもありました。彼が怪我明けでベストコンディションないとはいえ、2、3年前ビーレフェルトでやったときよりは、はるかに手応えはいいです。成長を感じるというのは良いことかなと思います」
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 ドリブル勝負は最後のところでクロスをブロックされたが、縦勝負を挑む気概がチームを奮い立たせる。守備でも臆することなくバチバチにやり合う。デイビスのドリブルに身体ごとぶつけてブレーキをかけ、仲間と協力してボールを奪うシーンもあった。強引に運ばれることもあるが、すぐに戻ってそこから決定機を作られないようにケアしていた。

 状況に応じた対応力は日に日にレベルアップしている点も取り上げたい。この日、バイエルンで左SBの位置でスタメン起用されていたのはポルトガル代表のラファエウ・ゲレイロ。技巧派でボランチやインサイドハーフもこなす、インテリジェンスがとても高い選手だ。スルスルとスペースに抜け出し、相手にとって嫌らしいところでボールを受けて、さばいていく。試合の序盤そんなゲレイロをうまく捕まえられずにいたのをみて、堂安はクリスティアン・シュトライヒ監督と修正を測っていた。

「守備戦術が練習した形は全くできなくて。自分の中でハマらないと思ったので、監督にも伝えて。奪いに行くよりも引いて守るサッカーのほうがいいんじゃないかなと意識しました。いいディスカッションができたと思います」

 このディスカッションが行われたのはキャプテンのクリスティアン・ギュンターが見事な左足シュートで先制点を挙げ、スタジアムが大いに盛り上がっていた時だ。ゴールを喜んだ後すぐに堂安はベンチへと駆け寄り、監督・コーチを交えて細かいやりとりをした。
 

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