WEリーグ天王山で貴重な同点弾! 浦和L清家貴子、パリ五輪に向け地歩を固める「もっともっと個で剥がして」

2024年03月04日 西森彰

代表戦から中3日で臨む

巧みなフィニッシュで同点ゴールを挙げた清家。(C)WE LEAGUE

 3月3日、WEリーグで2位の三菱重工浦和レッズレディースのウインターブレイク明け初戦は、首位のINAC神戸レオネッサをホームの駒場スタジアムに迎えての一戦だった。

 ひと月前の皇后杯全日本女子サッカー選手権決勝戦で、浦和Lは九分九厘、手中にあったタイトルを逃し、I神戸にPK戦で勝利をさらわれていた。WEリーグでも勝点差でひとつ上に位置するI神戸は、現状、浦和Lの最大のライバルだ。

 清家貴子も、この一戦には強い思いとともに臨んでいた。「本当に負けたくなかった。球際の部分、そういう戦う部分は大事にしていました。『自分が点を決めて勝つ、チームを引っ張っていく』っていう部分は、これからずっと、全うしなきゃいけない部分だと思うので、今日もそこは意識して試合に入りました」。

 清家らなでしこジャパンの選手たちは、この試合の前週から当該週にかけて、パリ五輪・アジア最終予選で北朝鮮と連戦を戦った。サウジアラビアに行って第1戦、戻って第2戦。水曜日に行なわれた国立競技場での第2戦から、今節のI神戸戦までは中3日のスケジュールだった。しかし、清家本人としては、自分の体調よりも、しばらくチームを離れていたことのほうが心配だったという。
 
「代表戦はフルで出たわけではないですし、中3日は普通に戦える日数なので、コンディション的には全く問題はなかったんですけれど、中断期間中、チームで練習することがほとんどできなかったので、そのコンビネーションの部分の心配はありました。けれど、本当に、前半を見て分かるように、すごく良い距離感で、良いタイミングでできたので、そこは心配いらなかったなっていう感じです」

 WEリーグが始まって以来、両者のリーグ戦の対戦では「アウェーチームの成績が良い」というジンクスがあった(4試合、すべてアウェーチームが勝利)。実際、この日も、試合開始直後の5分、I神戸に先制点を奪われた。田中美南のカウンターからのシュートでもたらされたコーナーキックを、北川ひかるが蹴り、最後は竹重杏歌理に押し込まれた。

 駒場スタジアムに、一瞬、嫌な空気が漂ったが、これを払しょくしたのが清家だった。12分、左サイドからの崩しを見ながら、ゴール正面へ入って待ち受ける。塩越柚歩の蹴ったボールが、島田芽依とディフェンダーの間からこぼれてくる。

 転がってきたボールを清家は反時計回りのターンで呼び込み、そのまま右足でシュートへ持っていく。I神戸が誇るゴールキーパー、山下杏也加も手を伸ばしたが、防ぐことはできない。ボールはきれいに、ゴール左隅へと吸い込まれた。

【動画】浦和L×I神戸ハイライト

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