アンカー熊谷は限界か。18歳の谷川に“運命の鍵”を委ねるべき【なでしこジャパン/コラム】

2024年02月26日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

遠藤と宮澤不在の左サイドは完全沈黙

第1戦は希望の光となった谷川。アンカーで先発させるべきか。写真:早草紀子

 宮澤と遠藤が不在だと、ここまでなでしこジャパンは劣勢を強いられるのか。サウジアラビアでの北朝鮮戦を受けての素直な感想だ。

 この日のなでしこジャパンの左サイドは完全に沈黙した。ウイングの植木とサイドバックの古賀の距離感が悪く、そのせいで同サイドのインサイドハーフに入った長野も前半途中までほとんどボールに絡めなかった(長野がボールに触れるようになったのは長谷川と左右のポジションを入れ替えてから)。

 昨年の女子ワールドカップ以後、なでしこジャパンはアンカーに熊谷を置く4-3-3システムを採用。そこで戦術の肝になっていたのが左サイドバックの遠藤で、その遠藤と上手く攻撃を組み立てていたのが宮澤なのだ。当然ながら、このふたりを揃って負傷離脱で欠いたダメージはあまりにも大きかった。正直、遠藤と宮澤の代役は存在しない。それが第1戦を受けての見解だ。

 左サイドからの展開は期待できず、ならば右サイドから崩そうとしても連動した攻撃はほとんど見られない。試合を振り返ればなでしこジャパンの決定機は41分に田中が放ったシュートのみ。一方で北朝鮮に複数の得点機を与えたことを踏まえると、奇跡のスコアレスドローとも言えた。
 
 攻撃が停滞した原因のひとつは、アンカーの熊谷だろう。ボールを受けても横パスやバックパスが多く、効果的な縦パスを長谷川や田中にあまりつけられなかった。その経験は確かに貴重だが、果たして熊谷のアンカー起用にこだわるべきなのか。  

 展開力で判断するなら、断然、谷川のほうが良い。谷川の経験不足が懸念となるなら、林でもいい。  

 2月28日の国立での第2戦、池田監督はどんなオーダーを組むのか。

 失礼を承知で言わせてもらうなら、18歳の谷川に"運命の鍵"を委ねるべき。アンカー熊谷は限界ではないのか。ここで谷川を起用してチームの勝利を体感できれば谷川自身にとって大きな財産になるし、世代交代を推し進めることもできる。

 いずれにしても、左サイドの最適解が見当たらない中でせめてアンカーの改善は図るべきだ。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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