ジュビロ川島永嗣が示す真のプロフェッショナリズム。こだわり抜いた“基準”でチームをさらなる高みに

2024年02月25日 元川悦子

かつて日本代表で共闘した面々と対峙

開幕戦のピッチに立った川島。悔しい2失点も目を見張る好守も見せた。写真:永島裕基

 2010年以来の国内復帰を果たした40歳のベテラン守護神・川島永嗣(磐田)。彼の14年ぶりのJリーグ初戦となったのが、2月24日のJ1第1節・ヴィッセル神戸戦だ。

 かつて日本代表で共闘した大迫勇也、山口蛍、酒井高徳、井手口陽介らがズラリと並ぶ昨季J1王者に対し、昇格組の磐田がどこまで戦えるのか。川島がチームをどう引き上げるのか。そこが大いに注目された一戦だった。

 だが、激しい守備と縦への推進力を前面に押し出す相手に、磐田は序盤から苦しんだ。開始早々の5分には、右CKの流れから汰木康也にミドルシュートを決められ失点。今季に個人昇格してきた平川怜も「やっぱりプレースピードとかはJ2とは全然違う」とギャップを感じたという。

 そういうなかで、川島は全くブレることなく声を出し、チーム全体を落ち着かせようとした。汰木のクロスに佐々木大樹が頭で合わせた至近距離のシュートには、鋭いセーブでゴールを死守。神戸が度重なる横からのボールで猛攻を見せた前半20~30分の時間帯も守備陣を鼓舞し、粘って2点目献上を阻止し続けた。
 
 さらに41分には、扇原貴宏の長いボールを右手で弾いてピンチを救った。こういった一挙手一投足を通じて、川島は「強い相手に委縮することなく真っ向から対峙することの重要性」「先手を取る守備の大切さ」を示そうとしたのだろう。

 だからこそ、後半立ち上がり49分の2失点目は本当に残念だった。

 レオ・ゴメスのパスを扇原にカットされ、大迫にボールが出た瞬間、佐々木が一気に前線に抜け出し、そこに絶妙のスルーパスが通った。次の瞬間、川島は佐々木と1対1に。何とか駆け引きをして止めたかったが、相手の冷静さが上回り、股抜きで決められてしまった。

「ボールを失うことを恐れていては何もできないと思いますけど、やっぱり失い方っていうのは考えなければいけない。ああいうところで簡単にボールを奪われてしまうと、失点に繋がってしまうのは確か。時間帯を考えてプレーすることも必要だと思います」

 川島は厳しい表情でコメントしたが、レオ・ゴメスが失った局面、佐々木に飛び出された局面を含め、リスク管理がしっかりできていたのかを磐田は再検証し、次に活かさなければならない。それがJ1残留、強豪復活の重要ポイントと言っていい。

【PHOTO】14年ぶりにJのピッチに!Jリーグ復帰を果たした川島永嗣を特集!

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