【移籍専門記者】微笑みを失ったハメスがマドリー退団の準備。新天地はマンチェスターかパリ?

2016年03月22日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

最近ではサンチャゴ・ベルナベウでブーイングを浴びように……。

怪我で出遅れた今シーズンは、なかなか調子が上がらないハメス。代理人とメンデスと夏の移籍を検討し始めたようだ。(C)Getty Images

「マドリード暮らしは2年間で十分」
 
 もしかしたら、そんなことを頭が過ぎっているのかもしれない――。ハメス・ロドリゲスの顔からあの爽やかな微笑みが消えて久しいのだ。フットボールをプレーする愉しみは、やってきては去っていく。「新たな環境と刺激を求めるのも悪くない」ということだろうか、ハメスはスーツケースに荷物を詰め込む準備に取りかかっている。
 
 カルロ・アンチェロッティの下で主役級の活躍を見せた昨シーズンと比べると、怪我の影響があったとはいえ今シーズンのパフォーマンスは極めて低調だ。
 
 ラファエル・ベニテス前監督の時代に溜まったフラストレーションは、ジネディーヌ・ジダン現監督になって以降も完全には払拭できていない。ここまでリーガ・エスパニョーラで18試合に出場して5得点・6アシスト、チャンピオンズ・リーグでは3試合で1得点。本来の能力を考えれば、いずれも物足りない。
 
 その表情は暗く、体重もオーバー気味。パッっとしないパフォーマンスに痺れを切らせたサンチャゴ・ベルナベウのマドリディスタたちからは、容赦のないブーイングの口笛が飛びはじめた。こうなると、移籍が検討材料に上ってくるのも当然の成り行きだろう。
 
 代理人のジョルジュ・メンデスもついに、ハメスのネクスト・ステージを考えはじめた。最も有力な目的地は、来シーズンからジョゼ・モウリーニョが率いることになるマンチェスター・ユナイテッド。モウリーニョはハメスを高く評価しているうえに、代理人も同じメンデスだ。
 
 もうひとつの可能性は、昨夏にメンデスが同じく顧客のアンヘル・ディ・マリアを送り込んだパリ・サンジェルマン。クラブを保有するカタールの王族たちは、文字通り大成功に終わったこのビッグディールの再現を目論んでいる。
 
 ハメスがマドリードで失った微笑みを取り戻す場所は、マンチェスターなのか、それもともパリなのか。今夏にその答が出る。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事