「若い選手から学ぶこともある」“40歳のチャレンジャー”川島永嗣は新天地ジュビロに何をもたらすか「ピッチの中では厳しく、外ではみんなと笑顔で」

2024年02月09日 河治良幸

映像収録の全てに川島の名前

14年ぶりのJリーグ復帰。磐田で川島はどんなプレーを見せるか注目だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 川島永嗣のジュビロ磐田への加入がリリースされたのは、1月12日だった。翌日に行なわれた新体制発表、その席には川島もいた。公式会見の後、テレビやラジオの映像収録とペン記者の囲み取材の場がセッティングされているが、映像収録の全てに川島の名前がある。その表を改めて川島に見せると「おお、そうなんですね」と少し驚いていたが、注目の的になることは予想できた。

 川島が磐田のオファーを承諾した背景には間違いなく、クラブの環境があるだろう。元日本代表コーチである横内昭展監督が率いており、藤田俊哉スポーツダイレクター、そして川島にとって日本代表の偉大な先輩であり、ポジションを争ったこともある川口能活コーチがいる。そうした環境で新たな挑戦を迎えるが、川島本人は日本に帰ってきたというより、磐田というクラブに来た感覚だそうだ。

「僕はかなりマイペースで、自分のキャリアをやってきているので。実際に自分が40になってみて、まだまだやらなければいけないことがあるなっていうふうに正直、思っているのが現状です。ヨーロッパでやっているなかでも、毎年毎年、自分は成長したいと思っていましたし、厳しい環境でも、それは変わらなかった」

 そう語る川島のスタンスは、磐田に来ても変わっていない。1人のGKとして競争に身を投じるなかで、自分が年長者だとか、W杯を4回経験した選手だとか、そういったものは関係ないというのが川島の流儀であり、それはクラブだろうと代表だろうと変わらないものだ。その一方で、磐田というクラブに呼ばれた意味というのも自覚している。

「やっぱりこういう形で来ると、いろんな経験を伝えるとかと言われますけど、経験というのは話して伝わるものでもないですし、やはり実際に感じることが一番だと思うので。僕自身、何かを教えるとか、伝えることができるかどうか分からないですけど、自分自身が若い選手から学ぶことも多くあります。そこはもうお互い切磋琢磨しながら、ね。チームの中で成長していければいい」
 
 新体制発表の翌日に行なわれた今年の初練習で、さっそくストレッチから、同じ新加入で20歳の西久保駿介と談笑する姿があった。そうした川島の振る舞いを見ても、遠藤保仁や大津祐樹が現役引退で抜けた磐田で果たしていく役割は大きそうだ。若い選手たちとも年齢に関係なく気さくにコミュニケーションを取りたいようだが、さすがに「話しかけづらいんじゃないですかね」と笑いながら言う。

「分からないですけど、自分からいかないと...かなあと思います」

 ただ実際、ポジションに関係なく川島から話を聞きたいという選手は多いだろう。唯一の高卒ルーキーでもある朴勢己は「(話を聞きたいのは)やっぱり川島選手です。今までの経験だったり、恐れ多いですけど、どんどん聞いていきたい」と語る。

 選手としてチャレンジする気持ちに年齢は関係ないが、そうした若い選手たちに伝えていけるものは多いだろう。ただ、川島も言う通り、言葉よりも振る舞いで示していくことも多いはずだ。

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