【岩本輝雄】森保采配に異議あり! 大好きな監督だけどね。でもイラン戦は疑問が残るベンチワークだった|アジア杯

2024年02月04日 岩本輝雄

劣勢を覆すアクションで物足りず

その手腕は間違いない。森保監督が今後、どう日本を強くしていくか楽しみだ。写真:サッカーダイジェスト(現地特派)

[アジアカップ準々決勝]日本 1-2 イラン/2月3日/エデュケーション・シティ・スタジアム

 残念な結果に終わってしまったね。アジアカップの準々決勝で、日本はイランに1-2。前半に守田のゴールで先制したまでは順調だった。でも、後半は苦しい時間帯が続いて、2失点。痛恨の逆転負けだ。

 イランやイラクといった中東の選手たちは、フィジカルの強さが欧州レベル。そこで日本の選手たちは互角に戦えなかった印象だ。今後のメンバー選考では、"上手さ"より"強さ"を基準にセレクトしてもいいかも。今大会を通じて、そういうタイプが必要なんじゃないかと思った。

 イラン戦では、相手のロングボールを使った揺さぶりに苦しめられたね。パスをつないでくる相手には、日本の組織的な守備は強さを示す。そうそう崩されることはない。でも、ドカーンと蹴って走ってくるような相手には、やや脆さが見える。ハイボールの競り合いでも、先述したフィジカル勝負で後手に回ってしまう。

 イランはよく日本を研究していたと思う。特に後半は、ロングボールを使って日本のラインを押し下げる。徹底していたよね。センターライン付近でキープして、余裕でつなげられるのに、シンプルに放り込んでくる。守備陣はしんどかったはずだ。

 だからこそ、交代策で何とかならなかったのかな、と思う。結果論であるのは承知しているけど、たとえば町田なり谷口を投入して、スリーバックにして跳ね返す力を高めたかった。

 板倉は前半にイエローカードをもらっていて、プレーが慎重になっていたような気もするし、パフォーマンスも今ひとつだった。早いタイミングで交代させてもよかったかもしれない。
【PHOTO】日本代表のイラン戦出場15選手&監督の採点・寸評。後半は何もできずに敗戦。及第点は2人のみの低評価
 森保監督は、なぜ最後まで守備面をテコ入れしなかったのか。後半の流れを見ても、どこかで手を打つタイミングはあったと思う。もちろん、延長戦を見据えたりとか、いろんなことを考えていたはず。でも、ちょっと疑問が残るベンチワークだった。

 この一戦だけで、森保監督の力量を推し量ることはできない。これまでの日本代表の戦いぶりや選手の成長を見ても、その手腕は証明済み。僕も大好きな監督。現役時代には一緒にプレーしているし、どれだけサッカーと真摯に向き合っているかをよく知っている。

 ただ、繰り返すようだけど、イラン戦では劣勢を覆すためのアクションが物足りなかった。遅きに失した感は否めない。

 アジア全体のレベルは上がってきていて、いくら日本でもそう簡単には勝てない。イラン戦では、日本の弱みがこれでもかというぐらい浮き彫りとなったと思う。

 だからこそ、貴重な敗戦でもある。この経験を糧にして、さらに森保ジャパンが強くなることをみんなで期待しましょう!

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた"40メートルFK弾"は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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