「10日間も家族や友人と連絡が取れない選手が2人いる」快進撃も16強で敗退。パレスチナ代表戦士が明かした思い「命の安全を望む、それだけだ」【アジア杯】

2024年01月30日 江國森(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)

「ここに来た唯一の目標は人々を幸せにすること」

快進撃を見せたパレスチナ代表。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

 パレスチナの快進撃が止まった。

 昨年10月、イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃したのを発端に、パレスチナのガザ地区がイスラエルから爆撃を受ける緊迫した事態が続いている。

 そんななか、アジアカップに出場したパレスチナ代表は、下馬評を覆してグループCを1勝1分け1敗の3位で通過。1月29日に行なわれたラウンド16ではカタールと対戦し、ここまで無失点の開催国から先制点を挙げる健闘を見せたが、セットプレーとPKで逆転され、1-2で敗れた。

 試合後、パレスチナのGKラミ・ハマデは「僕たちたちがここで成し遂げたことをとても誇りに思う」と切り出し、思いを語った。

「僕たちがここに来た唯一の目標は人々を幸せにすることだった。この試合でそれをやった。人々をいつも幸せにしたいと考えている。最後にはカタールが勝ったが、勝つためにできる限りのことをした。誇りに思う」

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 また、ガザ地区をはじめパレスチナの人々に向けて、「彼らは今のように常に強くいなければならない。僕たちには何もできない。僕たちがここにいるという世界へのメッセージはとてもうまくいったと思う」と話している。

「僕たちは命のために、何ができるかを考えなければならない。命の安全を望む。それだけだ」

 29歳の守護神は、「10日間も家族や友人と連絡が取れない選手が2人いる」とも明かしている。

 中東での大会ということもあり、どの会場でも大声援を受けたパレスチナは、小さくない印象を残して大会を去った。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)

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