優勝するには確固たる得点源が必要。“ほぼ4ゴール”の上田綺世が真のエースFWへ。頼もしいメンタル面の充実【アジア杯】

2024年01月28日 元川悦子

手応えを掴み、重要局面に突入

3-1で勝利したインドネシア戦で、2得点とOG誘発の上田。今大会初先発で期待に応えてみせた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

 1月31日に行なわれるアジアカップのラウンド16・バーレーン戦に向け、再始動した日本代表。27日の練習も26人全員が参加。開始前にはドーハ日本人学校の子どもたち22人から激励を受け、この日に27歳の誕生日を迎えた板倉滉(ボルシアMG)に花道を作ってから、トレーニングがスタートした。

 公開された30分間を見る限り、ここまで怪我の回復に努めていた三笘薫(ブライトン)も状態が上向いている印象。この調子なら、31日は不安なくピッチに立てそうだ。

 24日のインドネシア戦時点では、対戦相手の可能性はヨルダン、韓国、バーレーンの順だった。それだけに、まさかのバーレーン浮上で選手たちも驚いている様子。久保建英(レアル・ソシエダ)は「正直、ノーマークだった。バーレーン以外の2チームのどっちかと思っていたから」と目を丸くする。

 試合まで4日あるため、対戦国の分析はまだ行なっていないというが、「(決勝までの)4試合を11日でやるという気持ち」と言うように、ここから一気にアジア王者まで駆け上がるべく、ギアを上げていくつもりだ。

 決勝トーナメント以降は延長・PK戦もあるが、超過密日程を視野に入れると、90分間で決着をつけたいところ。そのためにも重要になるのが得点力だ。

 92年広島、2000年レバノン、2004年中国、2011年カタールという過去4度のアジア制覇を振り返っても、三浦知良(オリヴェイレンセ)、高原直泰と西澤明訓、玉田圭司、前田遼一に岡崎慎司(シント=トロイデン)と、明確な結果を残したFWが毎回のように存在した。
【PHOTO】アジアカップ2023を彩る各国美女サポーターを特集!
 とりわけ、2000年大会で5ゴールをマークした高原と西澤のインパクトは大きかった。準優勝に終わった2019年の前回UAE大会の大迫勇也(神戸)も5得点。その数字が日本代表のエースFWたるべき選手の1つのターゲットということになる。

 そこに手をかけているのが目下、3得点の上田綺世(フェイエノールト)。2ゴールを決めたインドネシア戦で、相手のオウンゴールを誘発した力感あふれるフィニッシュを含めれば、ほぼ4点という決定力を示しているだけに、ここから一気に突き抜けられれば理想的だ。

「ここまでチームとしても上手くいかない試合の方が多かったけど、3試合目である程度、改善できて、良い流れで最終的には決勝トーナメントに向かえているので、チームとしても個人としても成長できたんじゃないかと思います」と、本人も手応えを掴みつつ、重要局面に突入していくことになる。

 バーレーンは4-2-3-1か4-3-3がベースで、守備の要は3番のDFアルハイヤーム。彼らCB陣は185センチ前後の高さがあり、単純なクロスを放り込んでも上田がヘッドで勝てる確率はそこまで高くないかもしれない。

 となれば、インドネシア戦のように2列目やサイドと絡みながら流動的な攻撃を仕掛けていくか、上田が最前線でタメを作りながら、周りを動かしてギャップに飛び込むといった工夫を凝らすことが重要になる。

「守ってくるのであれば、スペースがないことも想定されるし、マイボールの時間を増やすために収めたりとか、スペースがなければ細かいところに顔を出したりとか、速いボールを狙ったりとか、いろいろありますけど、どっちにしろ得点だったりとか、そのチャンスメイクっていうところが一番価値があるし、求められていると思うので、そこは常に意識したいですね」と、上田は自分自身のやるべきことを明確に描きつつあるようだ。

【アジア杯PHOTO】HappyBirthday 板倉滉!練習後には久保、菅原からサプライズケーキも!

次ページ多少のことに動じなくなった

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事