【今日の誕生日】3月15日/移籍市場を最も賑わせる10番――ポグバ(ユベントス)

2016年03月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

ユーベのエースナンバーを背負う姿が見られるのも今夏までか。

ここ数年は移籍市場の最大の注目株となっているポグバ。近く訪れるであろう別れの時を前に、彼はユベントスにどれだけのものを残せるだろうか。 (C) Getty Images

◇ポール・ポグバ:1993年3月15日生まれ フランス・ラニー=シュル=マルヌ出身
 
 年々、その評価は高まり、"市場価格"は1億ユーロを超えている。欧州中のビッグクラブが注視し続ける宝石、それがポール・ポグバだ。
 
 ギニアにルーツを持つフランス人は、6歳でサッカーを始め、2007年にル・アーブルの下部組織に入団。間もなくしてその存在は欧州中のクラブに知れ渡り、16歳の時、彼はドーバー海峡を越えてマンチェスター・ユナイテッドのユースアカデミーに加わった。
 
 11年にトップデビューを果たし、リーグで3試合、ヨーロッパリーグにも出場した。間違いなくユナイテッドの将来を担う存在として期待されたが、ポグバはこのクラブと契約を延長せず、出場機会を求めてイタリアに新天地を求める。
 
 ル・アーブル時代から目を付けていた逸材を、ユベントスは移籍金ゼロで獲得。そしてポグバにとってもこの移籍は、大きな飛躍を果たすきっかけとなった。
 
 1年目で27試合に出場して見る者に強い印象を与え、フランス代表としてU-20ワールドカップ優勝を果たした(大会MVPに選出)後に迎えた13-14シーズンでは、さらにハイペースで成長を遂げてレギュラーに定着。移籍市場でも注目の銘柄へと変貌を遂げた。
 
 昨シーズンはリーグ4連覇の他、チャンピオンズ・リーグ(CL)決勝進出の原動力となった。身体能力を活かしたシュート力、ドリブル、キープ力の他、高いサッカーセンスを誇る彼は今シーズン、開幕前に複数の主力選手が抜けたチームにおいて、さらに重要な役割を担っている。
 
 今夏、他国のビッグクラブ(バルセロナが有力視されている)に移籍するのは決定的といわれているポグバだが、今シーズンより伝統の背番号10を背負う彼には、その前に34-35シーズン以来のリーグ5連覇など、成し遂げるべき仕事が幾つもある。
 
 フランス人の10番といえば、82年から87年まで在籍した"将軍"ミシェル・プラティニ以来。プラティニはここで3年連続リーグ得点王&3年連続バロンドール受賞という大記録を成し遂げているが、ポグバもユベントスで大きな足跡を残したいところだ。
 
 プラティニだけでなく、過去にユベントスの背番号10の代名詞的存在となった選手は、他にもいる。50~60年代では、3度のスクデット獲得に貢献したアルゼンチン出身のテクニカルなMF、オマール・シボリだ。イタリア国籍を有し、61年にはバロンドールを受賞している。
 
 80年代のプラティニを経て、90年に入ると10番の座はロベルト・バッジョのものとなった。ファンタジスタの代名詞であり――ゆえに守備的サッカー全盛の90年代は不遇を囲う時期も長かったが……――、スクデットやUEFAカップ優勝の他、93年にはバロンドール受賞で欧州最高の選手の称号を得た。
 
 そんな"ロビー"から背番号10を奪取したのは、アレッサンドロ・デル・ピエロ。「デル・ピエロ・ゾーン」と呼ばれたペナルティエリア左前45度からの美しいシュート、数々のトリッキーなゴールで数々の栄光を勝ち得た彼は、同時に多くの苦労も味わい、非常に人間味のあるスーパースターだった。
 
 デル・ピエロの退団から1年後、03年にカルロス・テベスが10番を継承。実績十分ながら、数々のトラブル歴を持つこのアルゼンチンが伝統の番号を背負うことに違和感を覚えたファンも当初は少なくなかったが、彼はチームの一員として、自分の持ち味を十分に活かしながらユベントスの勝利に貢献した。
 
 2度のスクデット獲得などのタイトル制覇を果たし、昨夏に惜しまれながら母国に帰って行ったテベスに代わり、伝統と栄光の番号を得たのが、今日で23歳になったポグバである。
 
 果たして、「ユーベのポグバ」がいつまで見られるかは分からないが、それまでに彼は、偉大なる「ヌメロ・ディエチ(10番)」の系譜にその名を連ねることができるか。
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