日本にとってインドネシアはありがたい相手だった。戦術はベトナムやイラクと同等レベルではない。森保Jで特に動きが光っていた選手は...【アジア杯】

2024年01月25日 清水英斗

欧州から選手をかき集めたインドネシア

日本はインドネシアを3-1で撃破。なかでも旗手の動きが光った。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

[アジアカップ グループステージ第3節]日本 3-1 インドネシア/1月24日/アルトゥマーマ・スタジアム
 
 日本代表は1月24日、アジアカップ・グループステージ最終節でインドネシアと対戦。3-1で快勝し、D組を2位で突破した。ラウンド16は中6日を空けて31日に行なわれる。

 第2戦でイラクに負けて尻に火がついた日本に対し、インドネシアは序盤から[5-4-1]で自陣深くに待ち構える策をとった。この形は前節対戦したイラクが66分以降に採用したシステムと同じではあるが、タイミングは違う。

 イラクの場合は、後半の半ばまで4バックを敷いて中盤で対抗しながら2点のリードを奪い、最後の逃げ切りのために、5バックで自陣ゴール近くのスペースを封じた。

 だが、インドネシアは最初からだ。これでは90分持たない。引き分け狙いで勝点を4に積み上げ、3位突破を意識したのだろうが、引きすぎはかえって不利を招く。正直、日本にとってはありがたい相手だった。
 
 今の日本が押し込んで攻め続ければ、必ず点を奪うことができるし、相手の尻が重ければ反撃を食らうリスクが小さくなる。インドネシアはベトナムやイラクのように、ハイプレス、ミドルプレスで積極的な守備を仕掛けてこなかったので、その点は与しやすかった。

 欧州クラブからインドネシアにルーツのある選手をかき集めた編成の影響があるかもしれないが、個人はともかく、戦術に関してはベトナム、イラクと同等のレベルではない。

 その[5-4-1]のインドネシアに対し、日本はスタメンを8人入れ替え、[4-1-4-1]を選択した。左サイドはウイングの中村敬斗、インサイドハーフの旗手怜央、サイドバックの中山雄太が3人で連係をとり、右サイドは堂安律、久保建英、毎熊晟矢が同じく3人で連係し、両サイドを2つの三角形で攻略する。ワールドカップ以降、第2次森保ジャパンが取り組んできたサイド攻撃の型だ。

 特に旗手の動きは光った。外に流れて、人を捕まえる意識が強いインドネシアのDFを釣り出し、スペースを空けて中村や中山の侵入を促す。さらに旗手自らも鋭く飛び出したりと、その豊富な運動量でコンビネーションを活性化させた。

[4-1-4-1]は初期配置で[5-4-1]のすき間に効果的な立ち位置を取れるだけに、連動が起こりづらく静的な試合になることもあるが、旗手の活発な動きは試合にダイナミズムを与えていた。

 旗手はイラク戦でも、相手が5バックに変更したのを確認した後、森保一監督が交代で投入している。もしかすると、5バック崩しの武器として考えているのかもしれない。決勝ラウンドでも活躍が期待される選手だ。
【PHOTO】日本代表のインドネシア戦出場16選手&監督の採点・寸評。5人が7点台の高評価。全得点に絡んだ9番をMOMに選出
 

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