「給料を払うクラブがハンデを抱えるのは許されない」エース久保建英のアジア杯離脱にソシエダ番記者が意見。ラフプレーへの“悲痛な叫び”には「取り返しのつかない事態を招きかねない」【現地発】

2024年01月05日 ミケル・レカルデ

指揮官は「早期敗退を望んでいる」

離脱前のアラベス戦でもラフプレーを受けた久保。(C)Getty Images

 アジアカップに旅立つ前のタケ・クボ(久保建英)のラストプレーは、ペナルティエリア手前から放ったクロスバー直撃の左足での強烈な一撃だった。もし入っていたら、アノエタは熱狂の渦に包まれていたことだろう。スタジアム中が試合に没頭していたため、アディショナルタイム中の交代がしばしの別れだと気づく者はほとんどいなかった。

 とはいえ、これは極めて由々しき事態だ。年々、欧州のトップリーグでプレーするアジア人選手が増え、タケのように成功を収めている者もいる。そんななか、給料を払っているクラブが、シーズンの重要な時期に当たる4~5週間、戦力的なハンデを抱えて戦わなければならないというのは許されることではない。

 もちろん、日本代表にとってアジアカップが重要な大会であることは理解しているが、それとこれとは別だ。本命視される日本が決勝まで勝ち進んだ場合、レアル・ソシエダはラ・リーガ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグの3つのコンペティションで、エース抜きで戦わなければならない。
 
 しかもチームを離れるのはタケだけではない。アマリ・トラオレとウマル・サディクもアジアカップとほぼ同時期に開催されるアフリカネーションズカップに、それぞれマリ代表、ナイジェリア代表の一員として参加する。

「3人の幸運を祈っている。彼らは決勝に進みたいだろうが、私はできるだけ早く一緒にいられるよう早期敗退を望んでいる。こうなることはシーズン開幕時から分かっていた。言い訳を探すつもりはない。我々は手元にある戦力をやり繰りしていくだけだ」

 アルグアシル監督はこの非常事態に冗談を交えながらも、本音をのぞかせた。
 
 もちろん3人の中で最も痛手なのは、タケの不在だ。アラベス戦はその意味でも、彼の離脱がチームにいかに大きなマイナスダメージを与えるかを証明する試合となった。前半こそ、シュートをブロックされるなど対峙するハビ・ロペスの粘り強い守備に手を焼いたが、ハーフタイムを境に形勢は一気に逆転。サイドで突破口となり、攻撃を牽引し続けた。タケのキレキレのドリブルを前に、ハビ・ロペスはなされるがままだった。

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