「郡司君は化け物」市立船橋の次期エース久保原心優、憧れの先輩と夢の国立へ「彼のような存在になりたい」【選手権】

2024年01月05日 安藤隆人

12年ぶりのベスト4進出に貢献

名古屋戦で先制ヘッドを突き刺した久保原。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権 準々決勝]市立船橋(千葉)2-1 名古屋(愛知)/1月4日/柏の葉

「郡司君や周りに甘えちゃいけない、自分をもっと強く持ってやらないといけないと思っています」

 選手権前のプレミアリーグEAST最終節・流通経済大柏戦の後、市立船橋の2年生ストライカー久保原心優はこう決意を口にしていた。そして全国の大舞台で、彼はその決意をプレーで表現している。

 初戦の高川学園戦(4-1)ではエースの郡司璃来がハットトリックの活躍を見せるなかで、久保原は身体を張ったポストプレーと前への推進力を見せ、1ゴールをマーク。そして準々決勝の名古屋戦(2-1)では、MF足立陽のクロスを相手DFがクリアしたこぼれ球に反応し、ヘッドで先制弾を突き刺し、12年ぶりのベスト4進出に大きく貢献した。

「久保原の成長が今年のチームの1つの鍵を握る」と春先に波多秀吾監督が口にしていたように、郡司頼みの攻撃からの脱却という重要なタスクと期待を背負って、指揮官は久保原をスタメンで起用し続けた。夏までは思うようにボールが収まらず、郡司に怒られることもあった。しかし、夏を境に彼は大きな成長を遂げた。

「僕はトップ下でボールを受けて捌くことが好きなので、どうしてもそっちをやろうとしてしまっていて、前線で収めたり、裏に抜けるプレーが苦手でした。でもそれができるようにならないと市船のフォワードは務まらないし、苦手だと思っていたプレーを磨こうという気持ちに変わっていったのがきっかけでした」
【厳選ショット】決勝ゴールを決めた市立船橋のエース郡司璃来のユニークなパフォーマンス!|選手権準々決勝 名古屋1-2市立船橋
 波多監督をはじめ、周りが自分に求めていることを理解し、その役割を果たすために自分を磨くという意識が芽生え、フィジカル強化と郡司のプレーを見て学びながら、市船の最前線にふさわしい選手になっていった。

 プレミアEASTでは、残留を決めた第21節の旭川実業戦で、「選手権と来季に向けて多くの選手を経験させたい」と郡司ら主軸がメンバーから外れ、久保原は1トップになった。そこでリーグ2点目となるゴールを叩き込み、大きな自信を掴んだ。

 続く流通経済大柏戦では、選手権はCBとしてプレーする同じ2年生の岡部タリクカナイ颯斗と2トップを組み、攻撃をリード。ここでも最前線で岡部をサポートしながら、果敢に裏を狙い続けた。「来年は僕が市船の攻撃をリードしていかないといけないんです」と次期エースとしての自覚を見せた。

 そして今大会、3回戦の星稜戦(4-1)では、郡司が怪我の影響でベンチスタートになると、1トップに入った。

「チームのスタッフからも『お前に託した』と言ってもらい、気持ちがグッと入りました」。ゴールこそ奪えなかったが、最前線での身体を張ったポストプレーと激しいプレスでチームのベクトルを前に向けて快勝に貢献。これでさらに奮い立った久保原は前述した通り、再び郡司と2トップを組んだ名古屋戦で躍動した。

「郡司君は化け物ですが、なんとかして彼に食らいついていきたいですし、僕も彼のような存在になりたいです。この1年間は個人的にはかなりキツかったのですが、それで成長できたからこそ、今があるので感謝しています」

 次はいよいよ国立。開会式で行進をして「このピッチに戻ってきてプレーしたい」と強く思った。掴み取った夢の舞台で、1年間の成長と感謝を示すことができるか。2年生ストライカーは郡司と変わらぬ輝きを放つ。

構成●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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