最初の45分間はいったいなんだったのか。タイ戦の前半と後半で何が違った?【コラム】

2024年01月01日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

前半はもどかしい日本に逆戻り

途中出場の堂安は躍動感溢れるプレーでチームの勝利に貢献。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2024年1月1日、国立競技場でタイ代表と戦った日本代表が5-0で勝利を収めた。

 立ち上がりからボールを握った日本は敵陣に攻め込んだ。佐野と田中の両ボランチがパスを散らし、伊東、伊藤涼、奥抜の2列目3人が個人技で仕掛けるなど、分厚い攻撃を展開した。タイの守備がややルーズな影響もあり、序盤は明らかに日本のペースで進んだ。

 ただ、伊東と田中以外の先発9選手は代表キャップ数が5以下とフレッシュな顔ぶれで、その分、連係面はいまひとつだった。前半の決定機は毎熊のスルーパスから伊東が抜け出した30分の場面のみで、もどかしい日本に逆戻り、そんな印象さえあった。

 ニアゾーンを有効活用して崩す意図は見て取れたものの、ポケットにパスを入れたあとのアクション(クロスなど)が不正確でほとんど敵に引っ掛かっていた。守備の局面ではボランチの田中がセカンドボールを拾いまくってくれたおかげで問題はあまりなかったが、前半の攻めについて言えばフラストレーションが募る内容だった。

 翻って、伊藤涼、奥抜に代えて堂安、中村を投入した後半の日本は明らかに攻撃のリズムが良くなった。「前半のジャブがあってこその後半」と試合後に森下はそうコメントしたが、個人的には常連組と新戦力の連係面での差が出たと感じている。
 
「1点入れば崩れると思っていた」と中村が言うように、51分に田中のゴールで先制した日本はここからさらに圧力を強めていく。前半とは打って変わり、伊東、堂安、中村で形成する2列目のコンビネーションが素晴らしく、そこにCFの細谷らが上手く絡んでいった。最初の45分はいったいなんだったのか、そう思ってしまうほど前半と後半のパフォーマンスは違う印象だった。

 では、前半と後半の違いはどこにあったのか。中村は次のように見解を示した。

「(前半も)ゴール前には迫っていたけど、あと1本のところで入っていない。例えば右サイドからのクロスに対して、ファーで詰めれていないシーンが2、3回あって。僕だったら、そこを詰めている」

 別の言い方をすれば、最終局面での精度となるだろうか。詰める、詰めない、その違いが結果に大きく反映されることを示すタイ戦でもあった。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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