「それをしないと使ってもらえない」堂安律が力を入れるフライブルク指揮官からの要求「攻撃はすごく評価してくれている」【現地発コラム】

2023年12月29日 中野吉之伴

順位を一気に6位にまで

ケルン戦後、シュトライヒ監督から声をかけられた堂安。(C)Getty Images

 サッカーの1シーズンは長い。どんなチームにも調子のいい時と悪い時が訪れる。では悪い時にどんな対応策を見出し、そこから抜け出すのか。クラブの真価が現われるところだ。

 日本代表の堂安律がプレーするフライブルクは、シーズン序盤に複数の主力がケガで離脱したり、またレギュラーに抜擢された若手が順応に時間を要したりすることもあり、調子を落としていた。ブンデスリーガ3節ではシュツットガルトに0-5、続く4節はドルトムントに2-4、7節ではバイエルンに0-3とそれぞれ完敗。DFBポカール(ドイツ杯)では2部のパーダーボルンに1-3で敗れた。いずれも数字以上の差を感じさせる内容だった。

 調子が良くないとはいえ、フライブルクは2シーズン連続でヨーロッパリーグ(EL)に出場しているクラブだ。ブンデスリーガで確かな立ち位置を築いているという自負もある。それゆえ「自分たちはこんなもんじゃない。きっかけがあればまたすぐ勝てるようになる」という思考状況になってもおかしくない。

 だが、それは危険で、フワフワとした状況認知に陥りがちだ。問題点はどこなのか、そこを改善するために何をしなければならないのか。そのあたりの分析が甘くなってしまう。

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 それだけに監督の決断の鋭さと正しさが大きな意味を持つ。クリスティアン・シュトライヒ監督はすぐに、「いま自分たちの状態はよくない。原点から取り組まなければならない」と戒め、スパッと切り替えた。いま勝てなくても我慢。そして10月、そして11月の国際Aマッチウィークによる中断を最大限に生かし、チームの底上げと立て直しに時間をかけた。

 その時の取り組みが少しずつ実を結びつつある。

 11月30日のELでギリシャの名門オリンピアコスを5-0で一蹴すると、ブンデスリーガでは3試合連続無失点で3連勝。順位を一気に6位にまで上げてきた。

 シュトライヒ監督は12月17日に行なわれたケルン戦で、2-0の完封勝利を飾った後の記者会見で「チームは厳しい状況でも気持ちを切らさずに戦える状況にあった」と話し、選手たちのプロフェッショナルな姿勢をこう称えた。

「フル出場しつづけている選手たちは間違いなく疲れている。でも、頭の中は常にフレッシュだ。足が重いとか考えずに、やれることをやり続けようと頭で自然に考えることができたら、これほどまでのプレーをすることができる。みんな足を止めずに前へと進みつづけているし、どんどんいいプレーを見せてくれている。選手たちには脱帽だ」
 

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