「バチバチやりたかった」リバプール撃破でも“寂しい”と語った町田浩樹の自信と成長。取り沙汰される移籍には「そういう噂が立つのはいいこと」【現地発コラム】

2023年12月26日 中野吉之伴

「マッチアップできる機会が少なかった」

ベルギーで評価を高めている町田。(C)Getty Images

 ピッチにそびえたつその姿からは貫禄さえ感じさせる。ユニオン・サン=ジロワーズ所属の日本代表DF町田浩樹のプレーからは、一つ一つの動きに洗練さが増している印象を受けた。

 ヨーロッパリーグ(EL)のグループステージ6節、対戦相手はすでにグループ首位で突破を決めているリバプールだ。

 この日のリバプールは若手中心のスタメン構成。主力のほとんどは温存された。一方のサン=ジロワーズはグループ2位に入る可能性をわずかに残すだけに、モチベーションにも大きな違いはあっただろう。

 とはいえ、町田がみせたパフォーマンスがとても安定していたのも間違いない。スタジアムで見ていると、背の高さに加え身体の厚みがすごい。動きもとてもスムーズだ。試合を通じて自分が守るサイドからの突破を許さず。高さを生かしたヘディングでの競り合いだけではなく、1対1での対応、鋭い読みによるインターセプト、前を守る選手へのコーチング、状況に応じたオーバーラップとそれぞれのプレーでクオリティの高さをみせていた。周りの選手との距離感、連携もうまく取れている。

「長く一緒にやってる選手もいますし、自分の役割っていうのは明確であるんで。チームの戦術としてはやりやすいです」
 
 町田はそう手ごたえを口にしていた。世界的強豪クラブのリバプールに公式戦で勝利する意味を町田はよくわかっているし、チームとしてなし得たパフォーマンスにも満足。そんな町田が「ただ…」といって、こんなことも話していた。

「エリオットが(中盤に)落ちたりで、あんまり自分がマッチアップできる機会が少なかったんで、そこはちょっと寂しいというか、もっとこう1対1でバチバチやりたかったところはあるので。それは、次に(笑)」

 GKやCBが頻繁に活躍する現象というのは、ゲームプランがはまらなかったり、相手の力に押し込まったりで、試合運びで後手となることで起こりやすい。ゴールを守ることがなにより守備の目的であることを考えると、チームとしてはGKやCBが大活躍しない試合の方が望ましいのはいうまでもない。町田もそのことはよくわかっている。

「もちろん守備の自分の場面が少ない方がいい。できるだけ前を動かして(守る)というのはあります。ただやっぱりこういう舞台でやってるので、そういった1対1も楽しんでやりたいなっていう、そういうことですね。そこで弱気になっちゃうとやられるんで。そういうのを楽しみながらやれてると思います」
【動画】町田と遠藤が直接対決!ユニオンSGがリバプールに歴史的勝利

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