「ブラジル代表はプランBに過ぎない」アンチェロッティの去就はどうなる? マドリー番記者が明かす舞台裏【現地発】

2023年12月26日 エル・パイス紙

大勢に影響を与えるまでには至っていない

シーズン終了後の去就後が注目されているアンチェロッティ。(C)Getty Images

 カルロ・アンチェロッティとレアル・マドリーとの関係は、第一期政権とは明らかに異なる。2013-14シーズン、アンチェロッティは、チャンピオンズリーグ(CL)決勝のアトレティコ戦で、アディショナルタイムにセルヒオ・ラモスが同点ゴールを決めるまで、解任の危機に瀕していた。

 延長戦を経てマドリーが4-1で勝利を収めたことでクビを免れたが、翌シーズン、CL準決勝でユベントス戦相手にあと1点決めれば、延長戦に持ち込めるという状況で敗退(トータルスコア2-3)したことが引き金となり、監督の座を追われた。

 一方、昨シーズン、CLでマドリーはマンチェスター・シティ相手に第2レグで0-4の大敗を喫し、同じく準決勝敗退となったが、クラブ上層部は、プロジェクトを発展・継続させる人物は、アンチェロッティ以外の選択肢はないと強調した。そしてその考えは今も変わってはいない。ブラジルサッカー連盟(CBF)がアンチェロッティにラブコールを送っているのは周知の通りだが、大勢に影響を与えるまでには至っていない。

 いやそれどころかマドリーは、来年6月30日に切れる契約を延長する方向で調整している。「何か奇妙なことでも起こらない限り、続投が既定路線だ」とさる関係者は語る。決断を出すメドにしているのが、CLのラウンド16が終わる来年3月。その時点でチームの戦いぶりを改めて評価したうえで、正式なプロセスに移行する考えだ。

 続投への後押しとなっているのが開幕以来の好成績だ。CLではグループステージを6戦全勝で突破。ラ・リーガでは第18節を終えて勝ち点45を獲得し、首位に立っている。
 
  しかも開幕前から怪我人が続出し、なおかつジュード・ベリンガムを一本釣りするというクラブの方針を突きつけられて、サウジアラビアへ流出したカリム・ベンゼマの後釜として、希望していたハリー・ケインの獲得を諦めざるを得なかった中での快進撃だ。アンチェロッティの手腕はその中でベリンガムの得点力を最大限に引き出したシステムを発案したことからも伺える。それはベリンガムの母親が、「息子がここまですごい選手とは思っていなかった」と吐露したほどだ。

「会長、ファン、選手たちから多くの愛情を感じている」という発言が示すように、アンチェロッティも続投に意欲を示している。フロレンティーノ・ペレス会長との関係も、第1期政権時よりも良好で、まだ契約延長の可能性について正式な話し合いは行われていないものの、両者は頻繁に顔を合わせ、意見を交換している。

【動画】久保が激昂したラフプレー&肋骨パンチ
 

次ページ輝かしいキャリアにおいて唯一成し遂げていない仕事

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事