インハイ王者の明秀日立、“夏冬連覇”を期しバージョンアップ! 指揮官は「成長度合いに手応えがある」と自信

2023年12月20日 安藤隆人

敵は破壊力抜群のカウンターを警戒

攻撃の質をさらに高めた明秀日立。多彩なアタックで選手権でも頂点を目ざす。写真:安藤隆人

 今年のインターハイ、真夏の高校王者に輝いたのは、初の全国制覇となった明秀日立だった。

 あれから約4か月半、彼らは茨城県リーグ王者としてプリンスリーグ関東2部参入戦を戦った。東京都リーグ王者の成立学園を相手に、明秀日立は武器である素早い縦の仕掛けに加え、1トップのFW熊﨑瑛太、2シャドーの竹花龍生と柴田健成の前線3枚に、吉田裕哉と大原大和のダブルボランチが積極的に絡んで、ショートパスも織り交ぜながらの攻撃を見せた。

 しかし、2本の鋭いカウンターに沈み、結果は0-2の敗戦。昇格は果たせなかった。

「立ち上がりは、我々のほうが前からのプレスでボールを引っ掛けることができた。それは僕らにリスペクトがあったのかなと思います。ただ、相手のストロングである両サイドをちょっと下げさせたいのも含めて、前に多くの選手を配置したのですが、全体的に相手のストロングポイントをもろに受けてしまいました」

 萬場努監督が試合をそう振り返る。明秀日立は連動したブロックを作りながら、前がかりに来た相手のプレスをいなして、一気に相手ディフェンスラインの背後のスペースを活用した精度の高いカウンターを仕掛けるのが強みだった。しかし、この試合でそれを行なったのは成立学園のほうだった。ここがインターハイ優勝前と優勝後で大きく変化した1つのポイントであった。
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「インハイ後は我々に対して、前から出てくるチームが一気に減りました」

 前からのプレスを得意とするチームでも、インターハイ王者に対しては、ディフェンスラインをコントロールして、静岡学園や青森山田などを打ち砕いてきた明秀日立の破壊力抜群のカウンターを警戒してきた。

 それが顕著に出たのが、県リーグや選手権予選で、4バック主体のチームが5バックにしてくるなど、守備にウェイトを置いた戦い方をするようになってきた。成立学園も守備時はハーフウェーラインまで引き込んでから、スライドしてパスを遮断したり、裏への飛び出しをブロックしたりする守備をしてきて、それに明秀日立がハマる形になってしまった。

 この変化こそが、萬場監督が口にした自分たちに対する相手のリスペクトであった。インターハイ決勝の桐光学園戦で2ゴールを挙げて、優勝の立役者となった柴田も、「インターハイ後はかなり研究されていて、前からプレスをしてくるチームは減り、ハーフウェーラインくらいからプレスをかけてくるチームが増えた」と、相手の自分たちに対する変化を感じ取っていた。

 ただ、この変化に対して何もしてこなかったわけではない。萬場監督は自分たちがサッカーの質をさらに底上げするチャンスとして捉えていた。

「ゴール前までは運べるけど、そこから崩しきれないのが続いたので、3人目を使ったり、個で崩したりすることをより選手たちに求めるようになりました。ハーフウェーラインからさらに先の攻撃の質、厚みをインターハイ前より強調して、練習でもかなりそこに時間を割くようになりました」

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