【磐田】元イングランド代表FWジェイが見せた“大物”の予感。J1デビュー、即決勝ゴール! 得点王争いに名乗り!?

2016年03月06日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「『得点王なんて狙っていない』と言ったら嘘になるね」。

「必ず一度はチャンスが来ると思っていた。それを逃さず決められた」とジェイ。ゴール前での脅威も、浦和アタッカー陣を上回っていた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

  元イングランド代表ストライカーのジェイが3月5日の浦和戦で、後半途中から出場してJ1デビューを果たすと、さっそく決勝ゴールをねじ込み特別な存在感を放った。
 
 開幕前に左足を傷めたため、リハビリに努めてきた。先週末の練習試合のパフォーマンスを見た名波監督は「思ったよりできている」と判断。この日の2節・浦和戦でベンチメンバーの7人に入れた。
 
 試合は相手のミスを突いて太田が先制点を奪ったものの、なかなか前線にボールが収まらず攻撃面では苦戦の展開が続いた。そして69分、アダイウトンに代わってジェイが投入される。
 
「(CFで先発した)齊藤が動きすぎて疲労も見え出していた。(ジェイには)真ん中でどっしり構えさせて、常にシュートに備えさせようと考えた」(名波監督)という狙いで、ジェイはCFのポジションに入った。
 
 柏木のミドルで1-1の同点に追い付かれたあとの81分、さらに齊藤と代わってスピードスターの松浦がジョーカーとして切られる。浦和の最終ラインの背後にできたスペースを、なかなか攻略できずにいたからだ。

【J1 PHOTO ハイライト】1st ステージ・2節 浦和1-2磐田 名波監督J1初勝利!

 すると直後の82分、磐田の狙いどおり、190㌢の大型FWに待望の"一発"が生まれる。
 
 左サイドでボールを持った松浦が、自慢の快足を活かして縦に仕掛けて阿部のマークを振り切る。その松浦のパスを、敵のペナルティエリア内で受けたのが小林だ。小林はフワッとボールを浮かして柏木をかわし、態勢を整えてファーサイドにクロスを放つ。
 
 そこで、名波監督の言葉にもあるように、「どっしりと構えていた」のがジェイだ。J1初挑戦となるが、やはり百戦錬磨の経験を持つ33歳。マークについていた槙野とのポジション争いを制して、身体を前に投げ出し、シュートを無人のゴールにねじ込む。
 
 松浦のスピード、小林の技、そしてジェイの強さ(力強さと勝負強さ)が発揮された、チームの想いが結集された一撃となった。
 
「ベリーハッピーさ!」
 
 試合後のジェイは開口一番、喜びを口にした。
 
「力があってボールポゼッションに長ける浦和を相手に、自分にとってJ1最初の試合で、最初のゴールを決められて、本当に幸せだ。浦和のサポーターのほうが人数は多かったけど、スタンドの一角をすべて埋め尽くしてくれたジュビロサポーターの声はずっと聞こえていた。その声援が、僕の決勝ゴールを生んでくれたよ」
 
 怪我の不安はまったくなかったと言う。
 
「チーム合流からまだ3週間ぐらいだけど、左足の怪我の心配はまったくなかった。もちろんシーズン最初の試合となれば特別な緊張感は持っていたけれどね」

 そういった「特別な雰囲気」が、むしろ気持ちを奮い立たせるシチュエーションになった。彼はその瞬間――ゴールチャンス――が必ずや訪れると信じていた。
 

次ページチームにとっても、ジェイにとっても大きな意味を持つ、記念すべき「J1初ゴール」に。

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