なでしこJを対戦国ブラジルはどう見た? 「何もできなかった」と敵将は脱帽。「どの国よりも学ぶことが多い」と重鎮は感謝。「世界トップ3に入る」と絶賛されたのは?【現地発】

2023年12月12日 リカルド・セティオン

「日本は最も興味深くモダンなチームであると証明して見せた」

日本とブラジルは1勝1敗で終わった。(C)Getty Images

 サンパウロで行われた女子のブラジル対日本の親善試合2連戦は、かなりの注目度を持って迎えられた。だれもが女子ワールドカップでのなでしこジャパンの戦いぶりを覚えていて、一目見たいと思ったからだ。

 1戦目はコリンチャンスのホームスタジアムであり、2014年ブラジルW杯の開幕戦が行われたネオ・キミカ・アレーナ、2戦目はサンパウロFCのホームスタジアムでサンパウロ最大のモルンビーと大舞台が用意され、実際に女子サッカーの試合においては1万4000人(2戦目)という記録に近い観客数を打ち出した。

 ブルーのユニホームや日の丸を身に着けた日本人サポーターの姿も、1戦目では300人、2戦目では500人近く見られ、スタジアムに彩を添えていた。

 快挙とは決して言えなかったW杯の後、ブラジル女子代表は新たな道を模索している。理由は異なるが、ちょうど男子のセレソンと同じ問題を抱えている。一つ目は監督。男子代表はチッチ監督が辞任した後の後任が決まらず、カルロ・アンチェロッティが本当にブラジルに来てくれるかもわからない。

 一方の女子も2019年から監督を務めていたスンドハーゲ監督がW杯の成績不振から退任、現在監督を務めるアルトゥール・エリアス(元コリンチャンス女子の監督)が就任したばかりだ。2つ目はどちらもスター選手に頼るチームになっていたこと。男子のネイマールは怪我が多く、素行も大人になり切れない。女子のマルタはもう37歳。いつまでも彼女に頼ることはできない。

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 1戦目は4-3でブラジルが勝利、2戦目は日本が2-0で勝った(日本戦の前にブラジルはカナダとも2試合しており、1試合目は1-0で勝利し、2試合目は0-2で負けた)。結果から見れば1勝1敗だが、どちらの試合も日本が先制。つまりブラジルはどちらの試合でも最初から後れを取っていた。

 日本に負けた2戦目の後、ブラジルのエリアス監督は、ここまで女子代表監督として彼が指揮した5試合の中で、一番難しい試合だったと語った。

「ブラジルにやって来た日本代表は、ワールドカップで躍進したチームのままだった。つまり我々はワールドカップ最強のチームと戦ったことになる。オセアニアで日本は最も興味深くモダンなチームであると証明して見せた。スペインにも4-0で勝った。日本は強く、破り難く、世界トップ3に入る女子チームである。そんな日本に4-3で勝利し、0-2という僅差で負けたことは、ブラジルにとっては大きな結果だった」
 

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