「もっと上に行きたかった。歳も若くないので」失意の上田綺世、CL敗退後にこぼした本音「キャリアの中で一番のチャンスだった」【現地発】

2023年11月30日 中田徹

「上田を入れてヒメネスのマークを分散させようとした」

アトレティコ戦で後半頭からピッチに立った上田。(C)Getty Images

 ハーフタイム。いち早くロッカールームからピッチに戻ってきたフェイエノールトのFW上田綺世は、ユニホーム姿でボールの感触を確かめていた。

 11月28日にオランダ・ロッテルダムで行われたチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第5節のアトレティコ・マドリー戦で、フェイエノールトは前半に0−1のビハインドを負った。

「前線でサンティアゴ・ヒメネスが孤立しており、サイドのクロスに一人で待ち受けていた。そこで上田を入れてヒメネスのマークを分散させようとした。上田には(工具の)ノミのように敵のディフェンス網にクサビを入れてほしかった」(アルネ・スロット監督)

 試合開始直後こそアトレティコゴールに迫ったフェイエノールトだったが、徐々に手詰まり気味になっていた。この状況を打開するため、後半開始から上田は投入された。

 前回の対戦で『上田の事実上のゴール(記録はオウンゴール)』を許したアトレティコ・マドリーのセンターバック陣は警戒度マックスでフェイエノールトの9番を抑えにかかった。
 
 GKユスティン・バイロウの蹴ったパントキックが上田に通るとCBアクセル・ヴィツェルがファウルで止めた。左SBキンドリシー・ハルトマンからのパスを受けると、今度はCBホセ・ヒメネスが激しくマークしてストップし、ウィッツェルとハイタッチを交わした。77分にはCBヒメネスをターンで外して右ハーフスペースを突いた上田のクロスを、マリオ・エルモソがブロックしてCKに逃れると、スペイン代表5キャップのCBはガッツポーズを作った。
 
 MFカルフィン・ステンフス、クインティン・ティンベル、SBハルトマンらが上田の動き出しに合わせてパスを通そうとするも、人数を割いて自陣ゴール前を固めるアトレティコ・マドリーの守備網がカットする。左右に流れればボールに触れた上田だったが、それでもビッグチャンスを2度迎えた。

 61分、CBトラウナーのロングフィードを引き出すと、腿と腹部を使ってボールを収め、MFナウエル・モリーナの股間を通してファーサイドにシュートを撃ったが、右ポストの外へ外れていった。87分にはペナルティーアークの外から左斜め前に走ってゴールエリアの中に侵入し、ハルトマンからのワンバウンドのクロスを右足甲に乗せたが、このシュートはバーを越した。
 
「アトレティコ・マドリーは中央を絞って固めて守るチーム。サイドを利用して打開したかったが難しかった」(ステンフス)

 試合は強度と効率性で優ったアトレティコ・マドリーが3−1で勝利した。上田はアトレティコ・マドリーの厚い壁を2度こじ開けたものの、結果的にはヒメネスとの久々の2トップは不発に終わった。

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