酒井も認める清武効果、そして清武が語る最下位ハノーファーの問題点と課題

2016年03月02日 山口裕平

ヴォルフスブルク戦ではパスワークで何度も崩しを見せたが…

攻撃の核である清武が復帰したことで、ハノーファーの攻撃は劇的に変化した。残り10試合で結果を出し続け、降格圏内から抜け出すことができるか。 (C) Getty Images

 清武の復帰は、ハノーファーにとって確実にプラスになっている。
 
 前節シュツットガルト戦でセットプレーから2得点を演出した清武は、0-4で敗れたブンデスリーガ第24節のヴォルフスブルク戦でも、チームで最も多くプレーに関与し、スルーパスから2つのチャンスを演出した。
 
 清武が入ったことによって、ハノーファーのボールポゼッションは大幅に改善された。
 
 この試合では、守備時には4-4-2の2トップの一角のようなポジションに入ったが、攻撃時には最前線からボランチの位置まで、フリーマンのようなかたちで自由に動き回り、ボールを次々と引き出していった。
 
 立ち上がりから20分まで、ハノーファーはとても最下位に沈むチームとは思えないテンポの良いパス回しで、相手の守備を崩してみせた。特に右サイドでは、清武、山口、酒井宏が息の合ったパス交換を何度も見せ、DF陣を攻略している。
 
 清武が絶えず顔を出すことによって、ハノーファーの選手にはパスコースが少なくとも1つは確保される。
 
 酒井も「キヨ君が顔を出すことで(パスの)選択肢が増えますし、(ボールを)失わないのでね。だからその分、自分たちが動いてパスコースを作るっていう、役割はすごいクリアになりました」とその効果を語っている。
 
 相手も警戒している清武にボールが入れば、一気にプレッシャーも掛かるが、その分、周囲の選手はフリーになることができる。清武もボールを奪われることなく、展開あるいはボールを捌いてくれるため、ハノーファーのパスはテンポ良く回った。
 
 ただ、それも結局、ゴールには結びつかなかった。序盤はパス回しで右サイドを何度も攻略したハノーファーだったが、クロスから決定的なシュートに繋がることはなかった。
 
 この問題については、清武も「よくありがちですけど、あれで満足してしまう選手もいます。結局、最終的にゴールに繋がらないと試合には勝てないわけだから、シュートまで良いかたちで行けたとして、それで良いのかという話になっていきますけどね」と危機感を募らせている。
 
 ハノーファーが低迷する大きな理由の1つが、得点力不足だ。チーム得点はリーグで下から2番目で、最近9試合では3ゴールしか奪えていない。
 
 ハノーファーが迎えた2つの決定機は、いずれも清武のスルーパスから生まれたものだったが、モノにすることはできなかった。決して多くのチャンスは作れないというチーム現状のなかで、これを確実に活かさなければ、勝点を積み上げることはできない。
 
「ああいうチャンスは滅多にないから、それをモノにしないと勝てないし、何回チャンスを作ってもシュートが入らなかったら意味がないので。そこはまた明日、話してやっていければいいかなと思います」
 
 そう語る清武は、チームの問題をどのように解決していくのだろうか。
 
現地取材・文:山口 裕平
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