3戦連発で4得点。だがスペイン戦では何もできず。“時の人”になった高岡伶颯は、悔しさをバネに這い上がれるか【U-17W杯】

2023年11月24日 松尾祐希

1年前までは代表と無縁の存在

スペイン戦では61分に途中出場。見せ場はほとんど作れなかったが、最後まで諦めずに力の限りを尽くした。写真:佐藤博之

「きつい時に決めるのが、エースだと思う。そういう意味では、あと1本が(決まらなかった)。これからJや海外でレベルアップして、本当に、チームを助けられる存在になっていきたい」

 U-17ワールドカップのラウンド16でスペインに1-2で敗れた後、ミックスゾーンに現われた高岡伶颯(日章学園)は、振り絞るようにして言葉を紡いだ。

 もっとやれたはず。もっと強い国と対戦したい。その願いは叶わなかった。大会前に森山佳郎監督が目標に掲げていた「ファイナル」の舞台に辿り着けず、冒険はあっけなく終わりを告げた。

 日本の全4試合に出場し、計4得点。今大会を振り返ると、高岡にとって自身の名を世界に広める場となった。とりわけ、グループステージのパフォーマンスは突出しており、スピードを活かした仕掛けと決定力の高さは見事としか言いようがない。

 ポーランド(1-0)との初戦では70分から2トップの一角に投入され、77分にゴール前で左足を振り抜いて値千金の決勝点をゲット。続くアルゼンチン戦(1-3)ではスタメンに抜擢され、50分に右SB柴田翔太郎(川崎U-18)の右クロスからネットを揺らした。

 グループステージ突破が懸かるセネガル戦(2-0)はスコアレスで迎えた55分に登場し、62分に柴田のクロスに頭で合わせて先制点をマーク。さらに72分には前田大然(セルティック)を彷彿させるハイプレスでGKからボールを奪い、そのままゴールに流し込んだ。
 
 強豪国から3試合連続で得点を奪い、グループステージが終わった時点で得点ランキングでトップに。誤解を恐れずに言えば、大会前にこれほどまでの活躍は予想できていなかった。それは本人も認めるところで、ポーランド戦の後には「まったく信じられない」と話していたほどだ。

 1年前までは代表と無縁の存在。全国での実績もほとんどなく、同郷である名和田我空(神村学園)のほうが幼少期の頃から名が知られていた。

 中学時代も宮崎県の三股町立三股中サッカー部でプレー。県大会に出場し、ひとりですべてをこなすようなプレーヤーだったが、日の目をみることはなかった。中学2年次に日章学園中と対戦し、そこでスカウトを受けて同校の高等部に進学する。

 高校1年次の冬にようやく全国の舞台を経験し、そこから一気に駆け上がった。昨年10月のU-17アジアカップ予選ではメンバー外だったが、今年2月の九州新人戦などで活躍し、3月のアルジェリア遠征で初めて日の丸を背負った。

 攻撃の切り札として森山監督に見出され、ワールドカップのアジア最終予選を兼ねた6月のアジアカップではジョーカーとして活躍。スピードと献身的なプレーを武器に信頼を掴み、本大会では前述の通り目覚ましい活躍を見せた。

【PHOTO】驚異の3試合連発&4得点!U-17W杯で大暴れした高岡伶颯を特集!

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