“史上初”の得点王&アシスト王のダブル受賞! 明大FW中村草太が本格ブレイク。指揮官も評価「“自分の形”を作れるようになった」

2023年11月20日 小室功

「もっともっと成長していきたい」

16得点・12アシストで“ダブルクラウン”の中村。佐藤恵允が背負っていた10番を受け継ぐ注目株だ。写真:小室功

 今年度の関東大学サッカーリーグ1部において"史上初"の快挙が成し遂げられた。

「2005年以降、現行の12チームによる総当たり戦になってから」という注釈がつくものの、得点王とアシスト王のダブルクラウン。その栄誉に浴したのが、明大のFW中村草太だ。

 そうそう狙ってできるような偉業ではないだろう。それだけに本人も驚きの表情を浮かべつつ、無欲無心による偉業達成を喜んだ。

「(リーグ最終節のあと)その話を聞かされて"そうなんだ"と思いました(笑)。得点王とアシスト王の両方を獲得できる選手はなかなかいないので、自信になりますし、(ゴールに向っていくプレーを)さらに突き詰めて、もっともっと成長していきたいです」

 3得点・5アシストだった昨年度のリーグ戦での数字が、今年度は16得点・12アシストと、大幅にアップ。高校サッカー界の雄、前橋育英(群馬)から明大に進学し、3年目を迎え、まさにブレイクシーズンとなった。

 今年4月のU-22日本代表合宿に招集されるなど、スピード豊かなアタッカーとして注目の逸材だったが、これほどまでに急激に飛躍したきっかけは何だったのか。

「どちらかというと、得点よりアシストを好むようなところがありました。でも、そこを栗田(大輔)監督から"相手にとって怖い存在にならないと上にはいけない。試合を決められる選手になれ"と口を酸っぱく言われ、自分なりに取り組んできたことが結果につながったと感じます。もともとサイドハーフでしたけど、ポジションがフォワードに変わって、よりゴールに近くになったことも大きいんじゃないかと思います」

 明大の1学年先輩であり、U-22日本代表で躍動するFW佐藤恵允がシーズン途中にドイツのブレーメンに移籍した事実も、また奮起の材料となった。佐藤が背負っていた10番を、現在、受け継ぐのが中村でもある。
【PHOTO】相手と接触し負傷交代するも試合後には笑顔で登場!強烈な先制弾を決めた佐藤恵允を特集!
「日頃のトレーニングからたくさんの刺激を受けていましたし、恵允さんが明大で見せてきたものを自分らがしっかりつないでいかないといけない。そう思っていました」

 明大を離れてもなお先輩・佐藤の活躍するニュースが届けば、俄然、後輩たちを活気づかせる。

 11月19日、関東大学サッカーリーグ1部の最終節となった筑波大との一戦が行なわれたが、その前日、U-22日本代表は静岡・日本平でU-22アルゼンチン代表と激突。18分に鮮やかな先制弾を叩き込んだのが、誰であろう、佐藤だった。

「しっかり見ていました。恵允さんらしいゴールだし、ドイツで経験を積んで、さらにエグくなっているなと(笑)。あのゴールを受けて、(筑波大戦で)自分も決めて、良い報告をしたかったけれど...まだまだでした」

 ひとつ殻を破った俊英を、3年間、見続けてきた明大の栗田監督は、厳しくも、温かいエールを送る。

「(ダブルクラウンという)凄い記録を打ち立てたなと思います。持ち前のスピードに加え、得点に直結する"自分の形"を作れるようになってきた。そこが大きく成長した部分ですね。ただ、筑波大戦のようにあれだけマークが厳しくなると、消えてしまうシーンが多く、まだまだ足りない面もあるでしょう。何より本人が気づかされたはずなので、今後に向けて突き詰めていってほしいと思います」

 昨年度の関東大学リーグを制した明大は、6年ぶり16回目の優勝を飾った筑波大の後塵を拝し、3位に終わった。次なる目標は、シーズンラストに控えるインカレ(第72回全日本大学サッカー選手権)だ。明大攻撃陣のキーマンである中村は、ダブルクラウンの勲章を胸に、3大会ぶりのタイトル奪還を目ざす。

取材・文●小室功(オフィス・プリマベーラ)

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