「タケが通過した後には死に体しか残らない」CLで躍動した久保建英にソシエダ番記者が賛辞!「幸せそうではなかった。だが、彼が気づいていないのは...」【現地発】

2023年11月11日 ミケル・レカルデ

「今大会最大のセンセーションを巻き起こしている」

ベンフィカ戦でもいつも通り躍動した久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 サッカーでは、優秀な選手ほど不在の影響が大きく扱われる。怪我やサスペンションで試合を欠場すると、ファンはその選手を賞賛し、代役を務める選手を過小評価する傾向がある。そんな中、タケ・クボ(久保建英)は3日ごとに最高レベルでプレーできるよう訓練された選手だ。心身ともに試合に出場し続けることができるタフさを持っている。

 今シーズンはほとんど一人でチームという荷車を引かなければならない試合もあったが、周りのサポートを得ることができれば、さらにパフォーマンスを高め、歯車がかみ合った時にはどんな強豪とも対等に戦う最高級のチームの攻撃の要として君臨する。

 今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)の組み分けが決まったとき、ソシエダは過去3年間戦ってきたヨーロッパリーグのプレーオフに回る3位をノルマに掲げながら、持っている力を出し切れば、決勝トーナメント進出を目ざすことができると多くの者は予想した。

【動画】スペイン紙も絶賛!3人に囲まれながら、先制点の起点となった久保のパス
 それが初陣のインテル戦から素晴らしいサッカーを披露。中でも、ベンフィカ戦はアウェーの第1ラウンド(3節)に続いて、第2ラウンド(4節)でも3-1というスコア以上に内容で圧倒。 もっと得点が入ってもおかしくない展開で、「今大会最大のセンセーションを巻き起こしているチーム」であることを改めて印象付けた。

 ベンフィカは前回から教訓を得て試合に臨んだはずだが、ソシエダのハリケーンを止めることができなかった。好調モードに突入した時、このチームはほぼ無敵だ。

 特筆に値するのは、ここ数年よりも縦への推進力が増したこと。猛プレスでボールを奪うと、少ないタッチ数でテンポよく前進し、相手にダメージを与える。その中で、タケとアンデル・バレネチェアの両ウイングは、良い状態でボールを受けるだけで、相手をきりきり舞いさせ、2人が通過した後には死に体となった選手しか残らない。

 タケはいつもタケだ。ベンフィカは前回よりも包囲網を強めてきたが、相手がどんな対策を講じようと意に介さない。開始6分、キッカーのタケはショートコーナーを選択し、バレネチェアとパスを交換。DF3枚を引き付けてから送ったマイナス方向のパスがその相棒のクロスを引き出し、相手のクリアボールをアイエン・ムニョスがボレーで押し込み、最後はミケル・メリーノがヘディングでねじ込んだ。

 

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