部活と塾を両立させる日々。「3年生になると勉強が忙しくなるので...」文武両道を行く刈谷CB岡島陽の全国にかける想い

2023年11月10日 安藤隆人

刈谷への受験を決めた理由は?

184センチのサイズを持つ岡島。エアバトルの強さに加え、判断力にも優れるCBだ。写真:安藤隆人

 愛知県内でトップクラスの進学校であり、過去2度の選手権準優勝を誇る伝統校・刈谷。白地に斜めに入った赤色のタスキ柄のユニホームは『伝統の赤ダスキ』と呼ばれ、昔からの高校サッカーファンにとっては1つの大きなブランドとなっている。

 その名門が25年ぶりの選手権出場に王手をかけた。インターハイでは2018年度に9回目の出場を果たしているが、選手権では進学校ゆえに3年生の多くが夏で受験に専念する影響もあって、なかなか20回目の出場を手にすることができていない。

 しかし、今年はプリンスリーグ東海を戦うなど経験値を積んだことで、ついにあと一歩のところまでやってきた。

 歴史を動かす準備は整った。今年のチームは攻守においてタレントがいるが、個人的には2年生CBの岡島陽の存在に目が行った。

 184センチのサイズに恵まれ、空中戦の強さを持ちながらも、一番の魅力は鋭いインターセプトとカバーリングの上手さだ。前に行くのか、下がるのかの判断が的確で、ボールの出所を素早く読み、最短距離で相手に寄せていく。

「僕はそこまで足が早くないので、常に状況を見る、相手を見ることを大事にしています。ボールを持っている選手と、自分がマークすべき選手を同一視野で見ながら、どちらも対応できるようにして、ボールホルダーの仕草や身体の向きなどを見て、パスの出所を把握してから、カバーリングなのかマークについていくのかを判断しています」
 
 駆け引きを大事にし、ギリギリまで相手の出方を見てからプレーの決断をして実行する。さらに岡島のプレーをよく見ると、きちんとプレーキャンセルして動き直せるのも魅力だということが分かる。最初の判断が的確ではなかったと分かると、すぐにポジションを取り直し、もう一度アクションを起こす。

「普段から平松智宏監督に『ギリギリまで決めるな』と言われているので、自分のタイミングではなく、相手のタイミングを図ることを大事にしています」

 自らのプレー分析をハキハキと話していくなかで、岡島は今年にかける強い思いも口にした。

「刈谷でプレーする以上、サッカーと勉強に集中するのは当たり前なのですが、今はサッカーのことをたくさん考えています」

 その理由は日常にあった。名東クラブでプレーしていた中学時代、ボランチとCBの両方ができる選手として、県内外の強豪校から多くの声がかかった。

 だが、中学3年生の夏休みに刈谷と練習試合をした時に、相手を見て判断することをベースにしたサッカーと、勉強も一切手を抜かないでやっていることを知ると、「サッカーだけでは将来的に進路選択をする時に幅が狭まってしまうと思ったんです。刈谷で両方に真剣に打ち込めば、選択肢が増えると確信できた」と刈谷への受験を決めた。

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