【プレミア現地コラム】夏に憧れのジダンの下へ? 「正直者」のアザールが望む未来とは――

2016年02月26日 山中忍

退団は非現実的なシナリオではない。

アザール自身が夢見るCL優勝は、チェルシーに留まれば少なくとも来シーズンは叶わない。憧れのジダンが監督に就任したマドリーへ――。いわば“状況証拠”は揃っている。(C)Getty Images

 プレミアリーグで近年流行の「○○は意のままに××する」というチャントに倣えば、「エデン・アザールは言いたいことを思うがままに口にする」となるだろうか。
 
 決して悪い意味ではない。アザールは記者陣の間でも「素直な若者」として好評だ。開幕から精彩を欠く今シーズンは、自ら「スランプ」を認め、任を解かれたジョゼ・モウリーニョ前監督に「力不足」を携帯メールで詫びたと明かしている。
 
 そんな素朴な25歳の過去の言葉から読み取れるのは、レアル・マドリー移籍が非現実的なシナリオではないということだ。
 
 アザールは、かねてからチャンピオンズ・リーグ(CL)優勝の夢とジネディーヌ・ジダンへの憧れを口にしてきた。そして「憧れの名手」は今シーズン途中、マドリーBからトップチームの指揮官に内部昇格。そのジダン自身はアザールへの興味を公言してもいる。一方のチェルシーは、下位に低迷中で来シーズンはCL不参加が濃厚だ。
 
 2月半ばには、パリSG移籍の噂が取り沙汰された。原因は、直接対戦したCLラウンド・オブ16の第1レグ(1-2)を前に、「誘われたら断り難い」と語った当人の発言だ。ただ、実際には「CL優勝を狙える他のクラブもそれは同じ」と彼は付け加えている。
 
 リーグ・アンはリール時代に経験済み。ステップアップを望んで渡ったプレミアで公言している「真のワールドクラスへの成長」を果たすうえで、パリSG移籍がプラスになるのかも疑わしい。やはり「マドリーに誘われたら(チェルシーを)去る」と友人に告げたとされる説の方に、より信憑性がある。
 

次ページマドリーに下った補強禁止処分の行方次第。

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