【ELポルト戦の香川真司】パスは正確、動きも良し! しかし、強力アタッカー陣の一角としての課題も残す

2016年02月26日 遠藤孝輔

38本中36本のパスを成功させ、ボールロストも少なかった。

先週末のレバークーゼン戦で出番のなかった香川は、ポルト相手に存在感を示した。次になすべきは、直接的なチームへの貢献だ。 (C) Getty Images

 2月25日(現地時間)に行なわれたヨーロッパリーグ・ラウンド32の第2レグ、ポルトの本拠地に乗り込んだドルトムントは1-0の勝利を収め、2戦合計3-0で次ラウンドへ駒を進めた。
 
 4日前のレバークーゼン戦からスタメン6人を入れ替えたドルトムントのトゥヘル監督は、可動式の4-2-3-1を採用した。
 
 ビルドアップ時には左SBのシュメルツァーが2列目左サイド、ロイスとオーバメヤンが最前線に並ぶ3-2-3-2となるシステムで、香川はいずれの場合においてもトップ下を務めた。
 
 その香川はポルトの2ライン(MFとDF)間を動き回って味方のパスコースを増やし、ボールを持てば丁寧な繋ぎのパスを披露。中盤の低い位置まで下がって、ビルドアップの起点となるプレーは控え、普段以上にセカンドトップ的な役割を担った。
 
 実際、目立ったのはエリア内への積極的な侵入だ。立ち上がり早々にDFラインの背後をとり(フンメルスからのパスはわずかに届かず)、23分に先制した場面でも味方からパスを送られれば、自らがフィニッシュできる位置に走り込んでいた。
 
 後半は直接的にチャンスメークに関与するプレーが増加。63分、中盤でテンポ良くボールを捌き、オーバメヤンがネットを揺らすことになる攻撃(オフサイドでノーゴール)の起点となると、70分には秀逸なスルーパスでDFラインを切り裂く。
 
 その7分後には自らがスルーパスに反応して最終ラインを破り、GKの手前でムヒタリアンに決定的な横パスを供給。しかし、これは直前の飛び出しがオフサイドとなっていた。
 
 五分もしくはやや劣勢だった前半とは異なり、後半は押し込む時間が増えたドルトムント。先制した段階でほぼ勝ち抜きを決めていながら、攻撃的に振る舞っていたチームにアディショナルタイム、大きなチャンスが訪れる。
 
 CKの流れから香川がGKカシージャスと1対1になる場面を迎えたのだ。しかし、やや角度のないところから放たれた右足シュートは、ゴールの左に逸れてしまった。
 
 パスミス(38本中36本が成功)や不用意なボールロストが極端に少なく、2016年の公式戦では2度目となるフル出場を果たした香川。しかしその一方で、フィニッシュの質が伴わない課題も改めて露呈した。
 
 強力アタッカー陣の一角を担う存在として、そしてさらなる高みを目指す意味でも、目に見える結果が欲しいところだろう。
 
文:遠藤孝輔

◎ヨーロッパリーグ・ラウンド32の結果
ポルト(0-2・0-1)☆ドルトムント
☆ブラガ(2-1・2-2)シオン
ロコモティフ・モスクワ(0-2・1-1)☆フェネルバフチェ
ラピッド・ウィーン(0-6・0-4)☆バレンシア
☆リバプール(0-0・1-0)アウクスブルク
クラスノダール(0-1・0-3)☆スパルタ・プラハ
☆ラツィオ(1-1・3-1)ガラタサライ
シャルケ(0-0・0-3)☆シャフタール・ドネツク
☆アスレティック・ビルバオ(1-0・1-1)マルセイユ
☆レバークーゼン(1-0・3-1)スポルティング
☆トッテナム(1-1・3-0)フィオレンティーナ
オリンピアコス(0-1・1延長2)☆アンデルレヒト
☆マンチェスター・ユナイテッド(1-2・5-1)ミッティラン
モルデ(0-3・1-0)☆セビージャ
ナポリ(0-1・1-1)☆ビジャレアル
☆バーゼル(2-3・2-1)サンテティエンヌ
※星印がついたチームがラウンド16進出。左側に記載のチームが第2レグのホームチーム。括弧内は左から第1レグ、第2レグのスコア。
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