日本代表選出へ充実の一途! 全試合フル出場、欧州カップ戦でも躍動する渡辺剛はベルギーリーグ屈指のCBへと進化を遂げた【現地発】

2023年10月31日 中田徹

「お前、疲れているか? とか訊かれたこともない」

新天地ヘントでも守備陣の中軸を担う渡辺(左)。日進月歩の成長を続けている。(C)Getty Images

 3バックの中心として昨シーズンのコルトレイクの1部残留に貢献した渡辺剛は、クラブの年間最優秀選手に輝き、祝福されてヘントへのステップアップを果たした。ヘントの名将ハイン・ファンハーゼブルック監督は「最初にオファーを出したいのは君だ。DFリーダーになってもらいたい」と口説いたという。その期待に早くも応えた渡辺は8月のクラブ月間MVPに選出された。

 3-1で快勝した10月29日のスタンダール戦、3バックの中央を任された渡辺は確かにDFリーダーだった。敵のロングボール、クロス、セットプレーをヘッドで跳ね返し、ハイラインの背後に生まれる広大なスペースも余裕を持ってカバーした。左右のCBジョーダン・トルナリガ、イスマエル・カンドゥスに声と身振りで細やかに指示を与え、苦しい時間帯にはチーム全体を鼓舞した。

 こまめな仕草で敵のCFを視野に入れ、味方の陣形に気を配る。渡辺の頭・首・背中・肩・腕・腰・足には危険を察知するセンサーが組み込まれている。スタンダール戦ではCFカンガのマークを外して、逆サイドのハーフスペースに侵入してきた俊敏アタッカー、ソワーをタックルで止め切った。
 
「ベルギーでは一瞬のスキで決められてしまう。日本よりレベルが高いし、決定的な仕事をする選手が多いなかで、ああいう一瞬の判断を間違えない。そこがいま、自分が試合に出られている要因のひとつかなと思います」

 しかもタフ。渡辺は昨シーズン、フィールドプレーヤーとしてただひとり、リーグ戦34試合・3060分間フル出場した選手として名を馳せた。カップ戦2試合を含めると、36試合でプレーした。しかし、今シーズンの渡辺はシーズン前半戦というのに、すでに公式戦21試合(リーグ戦12試合、UEFAカンファレンスリーグ9試合)にフル出場し続けている。週一度のペースでプレーしていたコルトレイク時代と比べ、現在の渡辺は木曜日の国際試合を挟みながら、ハイレベルなプレーを持続している。

「木曜日・日曜日・木曜日・日曜日――のペースで21試合やりました。全部フル、出ています。もう替えられる雰囲気がないです。毎回、試合のたびに誰かが休まないとチームが回らないんですが、俺は『お前、疲れているか?』とか訊かれたこともない。いや、シーズン最初の試合が終わって、次の試合の時に『お前、疲れている?』って訊かれたんです。そこで『ぜんぜん大丈夫です』と答えてから、もう一回も訊かれずにずっとスタメンのままです」

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