「三笘はやっぱり凄い」元日本代表の伊東輝悦も感心。Jで対戦経験のある遠藤航にも驚き「自分も海外に行きたかった」

2023年10月28日 元川悦子

「日本代表は本当に強くなったよね」

98年フランスW杯の生き証人である伊東。当時と比較し、日本代表の成長を実感している。写真:アスルクラロ沼津提供

 49歳の現役Jリーガー・伊東輝悦(沼津)が、「マイアミの奇跡」の立役者の1人だということは、周知の事実である。

 30代以下の若い世代は記憶にないだろうが、96年アトランタ五輪の初戦ブラジル戦で、日本が28本ものシュートを浴びながら、GK川口能活ら守備陣の徹底した堅守で跳ね返し、伊東の一瞬のスキを突いたゴールで勝ち切ったという歴史的一戦は、世界中を震撼させたと言っていい。

 あれから27年が経過し、当時まだワールドカップ出場経験のなかった日本代表だが、すでに7度の大舞台に参戦し、2002年日韓、2010年南アフリカ、2018年ロシア、そして2022年カタールで4度のベスト16入りを果たすまでになった。

 悲願の8強はまだ達成していないが、目下Aマッチ6連勝と第二次森保ジャパンの快進撃を見ていると、キャプテンの遠藤航(リバプール)が掲げた「2026年北中米W杯優勝」というのも、あながち夢ではないような気もしてくる。

「ゴンさん(中山雅史=沼津監督)や俺らが98年フランス・ワールドカップに初出場した頃に比べると、日本代表は本当に強くなったよね。

 個人のレベルが上がったからだと思うけど、最近の代表の試合は強豪相手にボール握ってる試合が多い。一昔前はどうしてもディフェンスから入らなきゃいけなかったけど、もうそんなんじゃないからね」と、小野伸二(札幌)と並ぶ数少ない98年W杯の生き証人である伊東は、しみじみとこう語っていた。

 その伊東が熱視線を送るのが、三笘薫(ブライトン)である。「サッカーをやるのも見るのも好き」と公言する大ベテランは、毎週のようにイングランド・プレミアリーグをウォッチしているという。特にマンチェスター・シティ、ブライトン、リバプールの3チームの試合には注目している。

「マンチェスター・シティは特に面白いよね。自分たちが主導権を握って、相手と上手く駆け引きしながら攻めるから。俺はライプツィヒみたいにフィジカルを前面に押し出すチームの試合はあんまり好きじゃないかな。今の沼津もパスサッカーを志向しているところが、シティとかに少し通じる部分がありますね。

 そういうなかでブライトンの三笘はやっぱり凄い。プレミアで屈強な守備を外して、あれだけ前進できるからね。今は『三笘包囲網』というのか、2枚がかりでマークされるケースも増えてるけど、その分、ブライトンにはアドバンテージがあるよね。ああいう選手が日本から出てきたのは本当にワクワクするね」と伊東は目を輝かせた。
 
 同じ中盤の遠藤が30歳でリバプールに引っ張られたことも驚きだったという。伊東自身は清水エスパルス、ヴァンフォーレ甲府に在籍していた2010年前後、湘南ベルマーレにいた若かりし日の遠藤と対戦しているが、その選手が10数年後に最高峰リーグの一員になるとは想像もしなかったようだ。

「遠藤が湘南にいた頃から良い選手だとは思っていたけど、リバプールに行くという事実がとにかく凄い。(ユルゲン・)クロップの選択肢に入ること自体、凄いことだからね」と伊東は「スゴい」を7~8回連発。日本の中盤のレベルアップも痛感したという。

「サッカー自体、本当に今は強度が高い試合が多いし、今の代表選手は若い時から海外に行って、厳しいなかでタフにプレーしているから、その経験もプラスして質も上がるってことなんでしょうね。自分たちの時代は海外移籍するチャンスも少なかったし、スタンダードが違うなと実感してます。

 正直言うと、自分自身も海外に行きたいと思ったことはあった。アトランタ後くらいの25~26歳くらいの頃かな。まったく現実味のない話だったけど、本当に行けたとしたら、慣れも出てきたのかな。異国の環境に慣れれば、ちょっとはできたんじゃないかなと思うこともありますね」

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