「途轍もない差があります」AZ菅原由勢、プレミア勢相手の完敗劇で痛感した“個人戦術の差”。「環境を変えないといけない」【現地発】

2023年10月28日 中田徹

「勉強という言い方はしたくないけれど…」

AZはアストン・ビラに4失点の大敗。菅原はあらためてプレミア勢との“違い”を体感した。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 AZは10月26日、プレミアリーグ5位のアストン・ビラに1-4の完敗を喫した。カンファレンスリーグのグループEは折り返しの第3節を終え、AZは勝点3で4チーム中最下位。アストン・ビラは勝点6で2位につけている。

 AZのシュート11本に対し、アストン・ビラはわずか5本だけ。少ない好機を確実にアストン・ビラは決めてきた。AZの右SB菅原由勢は「それがプレミアリーグのチームとの差じゃないですか」と言った。

「カウンターでパパっと決め切っちゃうあたりはプレミアリーグ。僕たちは無理に(ボールを)こねたりとかしてシンプルさに欠けていて、ボールを簡単に失っていたし、攻撃にアイデアがなかった」

 ボールを持つ人、受ける人だけでなく、周りの2、3人の選手もプレーに関わってスペースを作り、そこを活かすというチームとしての共有意識が、この日のAZには足りなかったのだという。

「そこはチーム戦術ですが、個人戦術でもあると思います。僕は試合中、そこの差が一番大きいんじゃないかなと感じていました。彼らはAZの守り方を見てボールを受ける場所を考えていた。それと比べて僕たちはただ相手がいるところに立って、ボールを受けようとする意識もなく、そういうところでノッキングが起こってボールの運び方のテンポが一定になってしまいました。個人戦術の差――、そこは試合を見ている人たち以上に、試合をしている僕たちが感じていたと思います」
 
 菅原が主に対峙したのはアストン・ビラの主将でMFのジョン・マギンだった。56分、アストン・ビラが右サイドを崩し切ろうとしたとき、大外からニアに走り出したマギンに菅原も迷うことなく全速力でついていった。しかし、29歳になったばかりのスコットランド代表MFは、菅原より一枚上手で、ベイリーの低いクロスをノートラップで撃ち込んで4-0とした。

「『(折返しのボールが)来るかな、(マギンが)嫌なところに流されてきたな』と思った。コースを切るようにスライディングしたんですけれど、もっと先に行かれてしまった。そこはもっとやれることがあったと思う。それだけですね」

 両者がベストを尽くしての攻防だっただけに、相手を褒めるしかない。しかし13分にアストン・ビラが決めた先制弾は、議論の余地が残る。自陣奥深い位置で得たスローイングから、菅原は中側にいたMFクラーシーにショートパスを出そうとしたところ、相手に渡ってしまい、ショートカウンターからベイリーにシュートを決められた。

「前に適当に蹴ってまたイチかバチかのサッカーをするというのは僕の中では嫌だった。もっと違う判断だったら良かったかもしれない、というのは間違いなくある。それでもやっぱり、あそこで繋げてあの状況を打開できる選手にならないといけない。そこは自分としての課題としてはあるので、本当に良くも悪くも勉強になった試合。勉強という言い方はしたくないけれど…」

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