【移籍専門記者】必見の「ポグバ争奪戦」が新展開を迎える。移籍金と年俸はさらに高騰し、獲得を狙うクラブの状況にも変化が――

2016年02月24日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

ライオラの年俸要求額は、市場価値の上昇に伴いさらに上がるはず。

複数のメガクラブが獲得を狙うポグバ。はたして、今夏に新天地を求めるのか? 写真:Alberto LINGRIA

 ユベントスは昨夏に1億ユーロ(約140億円)の値を付けたポール・ポグバの移籍金を、さらに吊り上げようとしている。
 
 最低でも、1億2000万~1億3000万ユーロ(約168~182億円)を提示されなければ、交渉のテーブルに着かない構えだ。
 
 そうした強気の姿勢にも怯まず、今夏に本気で獲得に乗り出そうとしているのがチェルシーだ。一度は手を引いたかに見えたが、ここにきて次の監督が誰になろうとも獲得優先順位の最上位に据える決断を下したようで、大金を投じる準備を整えている。
 
 ただし障害になりそうなのが年俸だ。引き抜きに動いた昨夏は、代理人ミーノ・ライオラの年俸1000万ユーロ(約14億円)という要求に対し、「800万ユーロ(約11億円)以上は出せない」と譲らず交渉が決裂した経緯がある。
 
 夏になればライオラの要求額は、市場価値の上昇に伴いさらに上がるはず。つまり、チェルシー側がその要求に応えられるかがポイントとなる。
 
 そうした状況から判断すれば、プレミアリーグ勢ではむしろ、同じく昨夏にも交渉していたマンチェスター・シティ行きのほうが、より現実味が高いかもしれない。彼らの資金力は文字通り底なしで、ジョゼップ・グアルディオラ新監督という誰にとって魅力的な大きな武器もある。
 
 本人が希望するスペイン2強も興味を示していると伝えられるが、レアル・マドリーが本腰を入れる可能性は低い。ジネディーヌ・ジダン監督が高く評価し、直接誘っているのは事実だ。しかし、フロレンティーノ・ペレス会長は黒人選手があまり好きではない。人種差別に繋がるため公には語られないが、その傾向は否めない。
 
 それを考慮すると、現時点でもっとも有力な移籍先は、かねてから強い関心を寄せるバルセロナとなる。もちろん、前記した資金的問題を解決できるかが前提となるが。
 
 パリ・サンジェルマンも獲得を望むが、ポグバ側に入団の意思がない。交渉が動き出す見込みはゼロに近い。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2016.03.03号より加筆・修正。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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