【ビッグクラブの回顧録】“あの時”のユナイテッドを振り返る vol.12~2001-02シーズン ~

2016年02月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

大型補強もまさかの無冠。そして、ベッカムを大災難が襲う。

目玉補強として獲得したファン・ニステルローイ。公式戦で36ゴールを荒稼ぎし、新エースとして君臨した。 (C) REUTERS/AFLO

 前シーズンにプレミアリーグ3連覇という偉業を達成したユナイテッド。一方で、カップ戦は全て落とし、かつての勝負強さを失いつつあった。そこで、2001-02シーズンを前に大刷新を敢行した。
 
 高齢化が指摘されていた最前線には、テディ・シェリンガムをトッテナム、アンディ・コールをブラックバーンにそれぞれ放出し、新たにPSVから25歳のルート・ファン・ニステルローイ、さらにインデペンディエンテから22歳のディエゴ・フォルランを補強した。
 
 中盤にもテコ入れをし、ラツィオからアルゼンチン代表MFのファン・セバスティアン・ヴェロンを当時英国史上最高額の移籍金2810万ポンド(約50億円)で獲得。デイビッド・ベッカム、ロイ・キーン、ポール・スコールズ、ライアン・ギグスの盤石のカルテットに割って入る存在として期待された。
 
 さらにアレックス・ファーガソンとの確執でヤープ・スタムが抜けた最終ラインには、経験豊富なフランス代表DFのロラン・ブランが加わり、ユナイテッドは各ポジションに好タレントを揃えた。
 
 しかし新戦力で目立ったのは、待望の新エースとして公式戦で36ゴールを叩き出したファン・ニステルローイぐらいで、大枚をはたいたヴェロンはプレースタイルの違いからか、才能の一端を見せることなく、ホームのファンからブーイングを浴びるほどの出来に終わったのだ。
 
 戦力の歯車が噛み合わず、バラバラとなったユナイテッドは、カップ戦はおろか4連覇の懸かったプレミアにおいても低パフォーマンスを露呈。11月下旬にはアーセナル、チェルシー、ウェストハムに3連敗を喫し、これが仇となって、優勝したアーセナルからは10勝点差の3位に沈んだ。
 
 また、カップ戦でも良いところがなく、FAカップは4回戦であっさりとミドルスブラに敗北。リーグカップでも宿敵のアーセナルに0-4と粉砕されたのである。
 
 さらにチャンピオンズ・リーグ(CL)では、ベッカムがとんだ災難に見舞われる。
 
 2002年4月10日、デポルティボとの準々決勝でMFアルド・ドゥシェルから悪質なタックルを受け、右足中足骨を骨折する重傷を負わされたのだ。
 
 後に奇跡的な回復を見せてシーズン後の日韓ワールドカップに間に合わせたベッカムだったが、加害者のドゥシェルがW杯のグループステージで同組となったアルゼンチンの選手だったこともあり、この時は大きな騒動が巻き起こった。
 
 このアクシデントでベッカムを欠きながらも、ユナイテッドは2シーズンぶりに準決勝まで勝ち進んだが、伏兵のレバークーゼンにホームでの1戦目を2-2、アウェーでの2戦目を1-1で終え、アウェーゴールの差で惜しくも涙を呑んだ。
 
 開幕前の大補強も虚しく、ユナイテッドはプレミアリーグ創設以降、最悪の結果に終わったのだった。
 
◎2000-01シーズン成績
リーグ:3位(24勝5分け9敗・87得点45失点)
FAカップ:4回戦敗退(対ミドルスブラ)
リーグカップ(ワージントンカップ):3回戦敗退(対アーセナル)
チャンピオンズ・リーグ:ベスト4(対レバークーゼン)
 
 
チーム内得点ランキング(プレミアリーグ):ファン・ニステルローイ(23点)、スールシャール(17点)、ベッカム(11点)、スコールズ(8点)、ギグス(7点)、ヴェロン(5点)、キーン(3点)、P・ネビル(2点)、ヨーク(1点)、バット(1点)、フォーチュン(1点)、ヨンセン(1点)、ブラン(1点)
 
◎主なトランスファー
◇IN
GK キャロル(←ウィガン)
DF ブラン(←インテル)
MF ヴェロン(←ラツィオ)
FW ファン・ニステルローイ(←PSV)
FW フォルラン(←インデペンディエンテ)
 
◇OUT
DF スタム(→ラツィオ)
MF グリーニング(→ミドルスブラ)
FW シェリンガム(→トッテナム)
FW コール(→ブラックバーン)
 
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