デコを彷彿させるプレーとメッシのような“無反応な性格”。バルサの超逸材ガビの素顔に迫る「9万人の前でプレーするより、16歳の女の子と話をするほうが緊張する」【現地発】

2023年10月20日 エル・パイス紙

「自分の得意ではないことに関わろうとしない」

シャビ監督からも高く評価されているガビ。(C)Getty Images

 バルセロナのガビは、フベニール(U-19)に所属していた頃、「好きなものを3つあげるなら」と尋ねられると、こう答えた。

「サッカー、女の子、マクドナルドのマックフルーリーのアイスクリーム」

 それから2021年8月のトップチームデビューを経て、自身を取り巻く環境は一変した。しかし本質的な部分は変わっておらず、子供の頃、故郷のロス・パラシオス・イ・ビジャフランカを離れて歩んできた自身のルーツに誇りを持ち続けている。

 その間、クラブの財政難の煽りを受け、トップチーム登録が認められず、契約が不透明な状況が続いた。しかし人生を謳歌するガビはそんな心配などどこ吹く風と言わんばかりに一心不乱にプレーし続けた。欧州中からオファーが舞い込み、去就が取り沙汰された時、ガビは代理人のイバン・デ・ラ・ペーニャにこう言った。

「バルサでプレーし続けられるようまとめてほしい」

【画像】「まじか」「メンツが強い」と反響!バルサ選手の歌舞伎町・渋谷での集合ショット
 バルサが鮮やかな逆転劇を演じたセルタ戦で、ガビは勝利の原動力となった。中でも、ファンを熱狂させたのが、自陣のゴール近くでボールを奪うと、そのまま攻め上がり、ジョアン・カンセロのゴールをアシストした3点目のプレーだ。シウタ・エスポルティバ・ジョアン・ガンペール(バルサの練習場)では攻撃にも守備にも関わるそのダイナモぶりを現SDのデコの現役時代のプレーと比較する声が上がっている。

 シャビ監督も「我々は、彼の能力を知っている。野獣のような選手だ。闘争心、ハート、パッションの塊だ」と称賛を惜しまない。

 今シーズンはフレンキー・デ・ヨングとペドリの負傷により、ウイングではなく、インテリオールとしてプレーする機会が増えていることもパフォーマンスが向上していることの要因だ。これまでは闘争本能をむき出しにして走り回るハードワーカーぶりが強調されていたが、テクニックにも優れているところを存分に見せている。

 素顔は好青年そのもの。ピッチ上での熱い姿とのギャップも相まって、すっかりファンの人気者になっているが、元来、注目を浴びることは好きではない。最近、クラブ内では、この得意分野でしか勝負をせず、興味がないことに無反応な性格がリオネル・メッシに似ていると評判になっている。関係者の1人は、こう語る。

「知らないのか、嫌なのか、面倒なのかは分からない。レオと一緒だよ。自分の得意ではないことに関わろうとしない。その一方では興味のあることには熱心に取り組む。常に感じられるのが、自身がバルサの選手であるという強烈な自負心だ」

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