「宿敵サポからバッシング」も...久保建英が「レジェンドへの道を進んでいる」と番記者が絶賛する理由「長い間、ソシエダが抱えていた課題が...」【現地発】

2023年10月07日 ミケル・レカルデ

「両者のロマンスが長く続くのは難しいだろう」

CLザルツブルク戦で63分までプレーした久保。(C)Getty Images

 バスク・ダービーを経て、タケ・クボ(久保建英)がアスレティック・ビルバオのファンの間で最大の敵として認識されたのは前回の記事でレポートした通り。例のゴールセレブレーションがまた彼らのプライドを逆なでしたようで、バッシングがなかなか鳴りやまなかった。

 しかし最大のライバルのファンにおける憎しみ度はまた自軍ファンにおける愛され度の裏返しでもある。天真爛漫な性格も相まって、アノエタのファンはすっかりタケに魅了されている。

 しかもその関係は相思相愛だ。今夏、サウジアラビアから目もくらむようなオファーが舞い込む中でも、タケはレアル・ソシエダを離れる意思がないことを強調した。加入以来のとどまるところを知らない成長を考えれば、両者のロマンスが長く続くのは難しいだろう。ただ、だからこそ我々はタケの勇姿を目に焼き付けるべきであり、その最高の舞台がチャンピオンズリーグ(CL)であることに異論はないだろう。

 CLグループステージ第2節のザルツブルク戦、モーツァルト生誕の地で、ソシエダは崇高なシンフォニーを奏でた。選手たちが展開するサッカーは天空から降り注ぐようにスタジアム中に響き、芸術愛好家として知られる地元ファンが言葉を失うほどだった。

 とりわけ前半は、クラブ史だけでなく、近年のCLにおいても記憶に残る壮観なものだった。2-0で折り返したが、もっと点が入っていてもおかしくなかった。
 
特筆すべきは、ダービーを控えてビルバオの監督、エルネスト・バルベルデが警告したように、試合開始直後からの積極的なアプローチだ。試合の入り方は長い間、ソシエダが抱えていた課題だったが、タケの火花がチームに勢いをもたらし、キックオフ直後からギアをトップに入れるチームへと変貌を遂げた。

ザルツブルク戦も、開始早々の2分、キレキレのドリブルを見せた。右サイドでボールを受けると、すぐさま対応にきた相手2枚を鋭い切り返しでかわし、逆サイドに位置していたアンデル・バレネチェアにパスを供給。シュートは相手にブロックされたが、続く7分の先制点では今度は見事な囮役となった。

 得点の起点となったのは自陣からのスローイン。中央突破を図る中、右のワイドに張り出すことでパスコースを作り、ブライス・メンデスのスルーパスとミケル・オジャルサバルのゴールを‟アシスト"した。

 さらに27分にはタケとのワンツーで密集を打開したメンデスがそのままドリブルで持ち上がり追加点をマーク。この場面も、パスを出した後、右サイドを全力で駆け上がり、相手守備陣の注意を引き付けることで、メンデスにスペースを創出した。

【動画】久保のCL初アシストから決まった圧巻の独走弾

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