【移籍専門記者の裏話】イカルディは冬のメルカート閉幕数時間前に売りに出されていた

2016年02月10日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

マンチーニとクラブは土壇場で放出に向けた動きを見せた。

希望通りエデル(左)を手中に収めたインテルのマンチーニ監督は、イカルディ(右)の売却を決断。クラブが売り込みをかけた相手は?(C)Getty Images

 インテルのマウロ・イカルディは、昨シーズンのセリエA得点王であり、ヨーロッパで最も将来を嘱望される若手のひとりである。にもかかわらず、今シーズンはその期待に十分に応えられず、浮き沈みの激しさが目立っている。
 
 今シーズンからキャプテンマークを与えるほど、イカルディのポテンシャルに賭けたインテルも、その判断を疑いはじめた。2月1日、冬のメルカートも閉幕数時間前という土壇場のタイミングで、あろうことか放出に向けた動きを見せたのだ。

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 ゴールの数だけはそれなりに積み上がってきたが(1月下旬時点で8ゴール)、年が明けて以降はパフォーマンスが停滞し、自信に欠け、献身性も足りない――。業を煮やしたロベルト・マンチーニ監督は、クラブにエデル(当時サンプドリア)の獲得を求めて実際に手中に収めただけじゃなく、イカルディの売却を決断。インテルのフロントは昨夏にオファーを送ってきていたアトレティコ・マドリーに連絡し、こう提案したのだ。
 
「イカルディを買わないか?」
 
 しかしスペインからは、にべもなく「ノー」という返事が返ってきた。その前日のミラノ・ダービーでベンチスタートだったイカルディは、しかし不満をまったく表に出さなかった。
 
 そして続くキエーボ戦とヴェローナ戦でイカルディは、2試合連続でゴールを決めて価値を証明した。はたしてこれが、マンチーニの信頼を取り戻すための妙薬となるか。

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文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。膨大な関係者と緊密なネットワークを持ち、しかもしっかり裏が取れるまでは決して情報を出さない。発信するニュースはすべてガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではない。
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