「J1に上がる準備をしましょう」城福監督が敗れてなお、その想いを膨らませた特別な一戦が…【東京V】

2023年10月04日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「選手たちを責める気にはなれなかった」

東京VをJ1昇格に導けるか。城福監督の手腕に期待。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

 2023年7月12日、12年ぶりに開催された東京ダービー(天皇杯3回戦)。FC東京に先行されながらも終盤の70分に追いついた東京ヴェルディはその後も奮闘し、勝利への執念を見せつけた。  

【動画】城福監督が語るJ1昇格への想い

 しかし、結果はPK負け。格上と目されたFC東京を追い詰め、試合の流れ的に勝っても不思議はないゲームをPK戦で落としたショックは計り知れない。おそらく試合後の会見で、東京Vの城福浩監督は悔しさを露わにするはず。そう確信していたが、実際は比較的穏やかな表情で、淡々と試合の総評をしていた。

 その城福監督にインタビューする機会に恵まれたので、ここぞとばかりに訊いてみる。

「東京ダービーの試合後、なぜあんなに冷静だったのですか?」

 すると、城福監督は次のように答えてくれた。

「毎試合感情をぶつけていたら危ないオジさんになってしまう(苦笑)。だからなるべく感情は抑えるようにしていますが、あの試合については我々の日程上、連戦が続いていたので、(前の試合から)先発メンバーをキーパー以外全員入れ替えました。そういう状況下でも彼らはやるべきことを全てやった印象があった。勝てなかったけど、際どい試合はできた。だから、選手たちを責める気にはなれなかった。

実際、こういうカードがあるんだと、こういう雰囲気になるんだと。クラブとして貴重な経験を積めたからこそ、『J1に上がる準備をしましょう』という想いを共有できた。120分間の戦い、PK戦で、その想いは選手以外のいろんな方々にも伝わったんじゃないかと。そういう達成感はありました」
 
 なるほどと、思う。その場の感情に支配されず、未来を見据える城福監督は最後にこう言って締めてくれた。

「もちろん、勝ちたかったですよ。でも、やるべきことをやったうえで、しっかりと感じるものがあった」

 東京ダービーでの経験が東京ヴェルディを強くすると、指揮官はそう信じて疑わない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

【動画】城福監督が語るJ1昇格への想い

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