【FC東京】東慶悟がクラブリリースを遅らせた理由。「自分のゴールで報告したかった」

2016年02月10日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

東は“ある決意”を携えてチョンブリ戦に臨んだ。

新戦力との阿部(44番)とも息の合うところを見せた東。今季の活躍が楽しみだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 拍子抜けだった。明らかに調整不足だったチョンブリは動きにまったくキレがなく、FC東京のテンポについてこられない。今季のFC東京の実力を探るうえでひとつの参考資料になるかと思いきや、その期待は脆くも崩れ去った。

 結果は9-0である。FC東京が素晴らしかったというよりは、この日のチョンブリが弱すぎた。だから、マッシモ・フィッカデンティ時代と比べて戦術的にどう変わったなどと細かく分析しても意味がない。

 ただ、チーム戦術はさて置き、個々のパフォーマンスに目をやった場合、人一倍気合いが入っていた選手がいた。4-4-2の左サイドを任された東慶悟である。

 開始直後からプレスを果敢に仕掛け、ボールを奪えば味方との連係でゴール前に顔を出す。昨季終盤戦の好調ぶりをそのまま持ち込んだような動きで異彩を放ち、34分には徳永のクロスにドンピシャの右足シュートで合わせて今季公式戦初ゴールを奪った。

 実は、"ある決意"を携えて東は試合に臨んでいた。

「(クラブからの)リリースをちょっと遅らせて、今日の試合で絶対に決めて自分で報告しようと思っていたんです」

 それが、ゴール後に披露したあのゆりかごダンスだった。

「(徳永)悠平さんが(自分の位置を)見ててくれたおかげです。(少し前に)子どもが生まれたんで、絶対に決めてやろうという想いで試合に臨みました。有言実行できて良かったです」

 その後も躍動感溢れるプレーで攻撃陣をリードした東。新戦力の阿部拓馬や水沼宏太とも息の合うところを見せていた。

「試合前に話し合いとかはしてないですが、(水沼とも阿部とも)やりやすいです。僕のプレーも理解してくれているし、やりにくさはなかったです」
 

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