【移籍専門記者】ミランで居場所を取り戻した本田圭佑。とはいえ、契約延長交渉のニュースに信憑性は……

2016年02月07日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

一部のメディアは契約延長の可能性を報じているが……。

9試合連続でスタメン出場と完全にミランで居場所を取り戻した本田。放出すら囁かれた昨年末とは雲泥の差だ。(C)Getty Images

「本田圭佑はどこに消えたんだ?」
 
 昨年の12月中旬あたりまで、ミラニスタたちはそう囁き合っていたものだ。たまに途中交代で立つピッチ上のパフォーマンスからは、何の答も返ってこなかった。
 
 もはやシニシャ・ミハイロビッチ監督はもちろん、クラブの構想からも外れたかに見えたものだった。
 
 ところが、年が明けると状況は一変する。レギュラーとしてコンスタントに出場するようになっただけでなく、1月31日のミラノ・ダービーでは先制点をアシストするなどマン・オブ・ザ・マッチに匹敵する活躍を見せたのだ。
 
 ついに本当の本田が戻ってきた――。
 
 その確信が深まったのは、続くパレルモ戦でのプレーも同じように説得力あるものだったからだ。ミランは勝点3を積み上げ、本田のパフォーマンスは誰にも反論の余地を与えなかった。
 
 この活躍ぶりには、ミランのアドリアーノ・ガッリアーニ副会長も上機嫌だ。
 
「偉大な選手だ。今まで我々は放出を考えたことがないし、彼自身もミランから出て行くつもりはないと言っている」
 
 これに乗じて一部のメディアは、契約延長の可能性を報じている(現行契約は2017年6月まで)。しかし、今のところ私の耳には「ミランと本田が契約延長交渉をしている」という情報は一切入ってきていない。単なるデマカセと見ていい。
 
 いま本田に必要なのは、この勢いをさらに加速させること。ここで止まってしまうのは、あまりにも残念だ。ミラニスタは今度こそ、背番号10に相応しいリーダーとしての活躍を期待している。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。セリエAから下部リーグまで各クラブの会長やスポーツディレクターはもちろん、代理人からスカウトまで膨大な関係者と緊密なネットワークを持ち、しかもしっかり裏が取れるまでは決して情報を出さない。発信するニュースはすべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではない。
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