【バルサ番記者】動きなしだった冬の移籍市場。それでも世界王者は効果的な“補強”を実現した

2016年02月03日 ルイス・フェルナンド・ロホ

複数のポジションに適応できるユーティリティー性がアルダの最大の長所。

1月に正式にバルサの一員となったアルダ(左)とA・ビダル(右)。主力に疲れが見え始めるシーズン終盤、彼らの重要性がわかるはずだ。(C)Getty Images

 バルセロナはようやく補強解禁となった今冬の移籍市場で、結局動かなかった。話題になったノリート(セルタ)もデニス・スアレス(ビジャレアル)もやってこなかった。
 
 それには理由がある。すでにふたりの選手が1月からチームに加わっていたからだ。アルダ・トゥランとアレイクス・ビダル。彼らは昨夏にバルサに入団はしていたが、FIFAの制裁により選手登録ができなかった。つまり、この冬の新加入選手と扱い的には同じなのだ。
 
 とりわけ、アルダの加入は大きかった。
 
 中盤より前の複数のポジションで、ハイレベルにプレーできるアルダの獲得は、ルイス・エンリケ監督直々の依頼だった。昨夏、指揮官はアルダこそがバルサに必要な選手だと判断し、獲得をクラブの上層部に求めたのである。
 
 アンドレス・イニエスタの定位置である左のインテリオールをカバーできるMF。指揮官はこの大役をこなせるのはアルダしかいないと考えた。昨シーズン、イニエスタは好不調にやや波があり、ケガにも悩まされた。そこでL・エンリケ監督は、このポジションに将来を見据えた補強が必要だと考えたわけだ。
 
 そのうえアルダなら、バルサでイバン・ラキティッチが務める右インテリオール、アトレティコ・マドリー時代にプレーしていた左右のウイング、つまりリオネル・メッシやネイマールのポジションにも対応が可能だ。
 
 高度な足元の技術、キープ力、パスセンスだけでなく、複数のポジションに適応できるこのユーティリティー性は、アルダの最大の長所と言ってもいい。実際彼は1月だけで6試合に出場したが、そのなかで4つのポジションでプレーしている。もっとも多かったのは、右インテリオールで(3試合)、左インテリオールは1試合。さらに、アスレティック・ビルバオ戦(リーガ20節)ではケガのメッシに代わって後半の頭から右ウイングとしてプレーし、エスパニョールとのコパ・デル・レイ(5回戦第2レグ)ではネイマールの持ち場である左ウイングをさらりとこなした。
 
 このポリバレントな能力は、チャンピオンズ・リーグが再開し、選手を休ませる必要が出てくる終盤戦に非常に大きなプラスとなるだろう。

次ページノリートの獲得を断念したのは正しい判断だった。

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