【U-22日本代表 総括】パリ五輪の1次予選を無事突破。過酷な環境下でいかに勝ち抜いたか。三戸や松木の奮戦は好材料に

2023年09月15日 松尾祐希

苦戦を強いられた要因は?

U-23アジア杯予選を勝ち抜いた大岩ジャパン。苦戦しながらも最低限のミッションをクリアした。写真:松尾祐希

 可愛い子には旅をさせよ――。結果は2勝1分で首位通過。パリ五輪を目ざすU-22日本代表にとって、今回の戦いはタフさが試される場となった。

 9月6日から12日にかけて、中東のバーレーンで行なわれたU-23アジアカップ予選。来年4月中旬の本大会出場を果たすためにはグループ1位、もしくは2位になったうえで全11グループの上位4か国に入らなければならない。

 U-23アジア杯がパリ五輪の最終予選となるため、今予選の位置付けは1次予選。負けは許されず、アジア杯の本大会行きを決めることが最低限のミッションだった。

 相手はパキスタン、パレスチナ、バーレーン。シンプルに考えれば、力は日本が上かもしれない。しかし、今回はピッチ外に潜む敵との戦いも強いられた。

 パキスタンとの初戦は終始圧倒して6-0で快勝したが、次のパレスチナ戦は攻めあぐね、23分にFW藤尾翔太(町田)のゴールを最後まで守り切って1-0の勝利。バーレーンとの最終戦は、敗れれば2位以下になる可能性があるなか、ボールを支配しながら決定機を作れずに苦戦した。0-0のスコアレスドローで終えて首位通過を決めたが、一歩間違えれば、どんな結果になっていたか分からない。
 
 過酷な環境下や状況で戦ったことが、苦戦を強いられた要因となったのは確かだろう。

 では、何があったのか。まず一つ目の敵が気温だ。日中は40度を超える日も珍しくはない。日没後でも30度を下回らず、湿度も70パーセント近くある。18時から19時頃に練習を開始すると立っているだけで汗が吹き出し、ホテルから凍らせて持ってきた水もあっという間に溶け出していた。

 そうした環境を見越し、スタッフ陣も事前に対策を練っていた。特に欧州組には大会が始まる2週間前からサウナや長風呂をするように伝え、汗が出やすい状況を作るように求めた。だが、現実は想像以上に厳しい。

 選手たちからは「暑さはかなりヤバい」(DF内野貴史/デュッセルドルフ)、「シンプルに暑過ぎる」(DF畑大雅/湘南)といった声が聞かれた。

 4日に行なわれた現地の初練習から、国内組も海外組も適応に苦労する予感を漂わせていた。2日目以降は少し順化したとはいえ、尋常ではない暑さへの適応は簡単ではない。シェフが帯同して日本にいる時と変わらない食事が摂れたものの、体重が減少する選手も少なからずいた。

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