「お前が引っ張っていくんだぞ」。指揮官の言葉に山本理仁は何を思う? パリ五輪に向け「本気でやっていかないとまずい」【U-22日本代表】

2023年09月13日 松尾祐希

勝ち切れずに笑顔なき予選突破

本来の実力を出し切れず、悔しさを滲ませた山本。今後はベルギーで「危機感を持ってやっていきたい」と言葉に力をこめる。写真:松尾祐希

[U-23アジア杯予選]日本 0-0 バーレーン/9月12日/アル・ムハラクスタジアム

 MF山本理仁(シント=トロイデン)の心にあったのは、最終予選進出を決めた喜びよりも、強烈な危機感だった。

 現地9月12日、U-22日本代表はU-23アジアカップ予選の3戦目に臨み、ホスト国であるバーレーンと0-0で引き分けた。この結果、2勝1分の成績でグループ首位となり、来年4月の本大会進出を決めた。

 バーレーン戦を振り返れば、序盤から押し込みながらもゴールを奪えない展開だった。後半は往来の4-3-3からより攻撃的に振る舞うべく、守備時は4バック、攻撃時は3-4-2-1に可変して、5バックで守りを固めてきた相手を崩しにかかった。

 しかし、時間の経過とともに疲労と酷暑の影響で足が止まってしまう。残り15分を切ってからは、引き分け以下で1位通過の目がなくなるバーレーンに攻め込まれた。それでも何度かあったピンチをキャプテンの藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)中心に凌ぎ、確実に勝点1を積み上げて首位の座をキープした。

 試合後、本大会出場を決めた選手たちはピッチの脇で記念撮影を行ない、6時間後に迫ったフライトに間に合わせるべく、足早にロッカーへと引き上げていく。勝ち切れずに笑顔なき予選突破となったが、そのなかで誰よりも項垂れている選手がいた。チームの立ち上げ当初から主力を務めてきた山本だ。
 
 パレスチナとの第2戦(1-0)ではキャプテンマークを任されるなど、大岩剛監督からの信頼も厚い。しかし、今大会は海外組となって初めて迎える代表戦。長距離移動や暑さへの対応も重なって、満足いくプレーができなかった。

「前半とか頭がクリアになっているんですけど、この暑さもあってだんだんボーっとしてくる。それは間違いなくある。でも、それは言い訳にできない。そのなかでクオリティは自分に求められているので、そこはまったく納得できる部分はなかった」

 そう言って、山本は不甲斐ないパフォーマンスに悔しさを滲ませる。バーレーン戦も63分からピッチに入り、東京Vの下部組織時代からコンビを組む藤田と中盤で攻守のバランスを取りながら懸命にゴールを目ざした。

 だが、本来の良さは見られず、ボールを散らすプレーに終始。何度か深い位置まで入り込んだが、思うような結果は残せなかった。

【PHOTO】日本代表のトルコ戦出場17選手&監督の採点・寸評。2人が7点台の高評価。MOMは2ゴールの13番

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