「もっとボールを動かしたい」パレスチナを下して連勝も油断なし、川﨑颯太は気を引き締める。A代表のドイツ撃破も刺激に【U-22代表】

2023年09月10日 松尾祐希

心の底から喜べる勝利では…

パレスチナ戦で4-3-3のアンカーとしてプレーした川﨑。写真:松尾祐希

[U-23アジア杯予選]日本 1-0 パレスチナ/9月9日/Sheikh Ali Bin Mohammed Al Khalifa Stadium

 MF川﨑颯太(京都)にとって、この勝利は決して心の底から喜べるモノではなかった。

 9月9日に行なわれたU-23アジアカップ予選のU-22パレスチナ戦。U-22日本代表は序盤から相手のパワーに屈し、ヒヤリとする場面を何度か作られてしまう。なんとかFW藤尾翔太(町田)のゴールで先制し、試合のリズムを引き寄せた一方で、最後まで追加点は奪えなかった。

 1−0で勝利を掴んで2連勝となったが、90分を通じて、思い通りのプレーができたとは言い難い。試合後、選手たちは安堵の表情を浮かべたものの、悔しさを滲ませながら改めてアジアを勝ち抜く難しさを痛感させられていた。

 4−3−3のアンカーでプレーした川﨑もそのひとりだ。ベンチスタートとなった藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)に代わってスタートから中盤の舵取り役を任されたが、ゲームをコントロールできなかった。「こういう展開もあるのでイライラしないことを考えた」と前置きしたうえで、川﨑は試合をこう振り返る。
 
「相手が蹴ってくるというところもありましたし、そういうところでもう少しセカンドボールを拾えたはず。ただ、セカンドボールのところで相手の圧力が強かったのは誤算でした」

 とりわけ、課題になったのが、試合の入りだ。序盤から相手が前からプレスをかけ、ロングボールを主体に攻め込んできた。想定はしていたものの、押し込まれる展開となり、はね返してもこぼれ球を拾えない。そこで川﨑は大きくクリアして時間を作ろうと試みたが、試合の流れを引き戻すまでには至らなかった。

 先制点を奪ってゲームが落ち着くと、川﨑はビルドアップを助けながら中盤でテンポよくボールを散らした。だが、決定的な仕事はできず、誤解を恐れずに言えば無難なプレーに終始してしまう。普段から「もっとボールを受けたい」と話しているように、課題の攻撃面で成長の跡を見せたかったが、簡単には事が運ばなかった。

 74分に藤田が投入されてインサイドハーフにポジションを移してからは、積極的に攻撃に関与していただけに、アグレッシブさをアンカーの位置で見せられなかったのはパレスチナ戦の反省点だろう。
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